大統領、保険分野の構造改革と発展戦略の作成を指示
(ウズベキスタン)
タシケント発
2019年07月12日
ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は7月10日の閣議で、保険産業分野(注)での政府機構を含む構造改革と発展戦略の作成を指示した。保険市場を活性化させ、市場から集めた民間資金を投資へと回す流れを作り、保険産業が国の経済成長率へ貢献する割合を高めるのが目的。将来的な国民皆保険制度創設への道筋も見据える。
閣議でミルジヨエフ大統領は「保険サービスは各種金融リスクから経済を守る手段の1つであるにもかかわらず、ウズベキスタン国民1人当たりのサービスの利用率が(他国に比べて)低く、国の経済成長率に貢献する割合も低い」と指摘。
原因としてウズベキスタンでの「保険サービスの魅力の低さ」を挙げ、関係省庁に対し、a.規制産業から振興産業への転換を目的として、「保険監督国家査察局」の廃止と「保険市場発展庁」の創設、b.国民1人当たりの保険加入額の2倍増と、2022年までに保険産業が経済成長率に貢献する割合を増やす中長期戦略の策定、c.保険サービスへの国民の信頼向上を目的に、保険金請求時の提出書類・審査時間の削減、中立審査と迅速な保険金支払いの実行、d.保険会社によるリース事業や投資事業を支援する税制構築、の4点を指示した。
加えて、自国の保険会社による世界の先進的経営システムの導入や、世界的格付け制度への加盟、他国市場への進出支援、国外の教育機関・大手保険機関での研修を通じた人材育成などを課題として挙げた。
ウズベキスタンでは強制医療保険制度創設に関する議論も進んでいる。保健省は7月2日、共和国法案「強制医療保険について」を含む一連の関連法案をパブリックコメントに付した。法案はロシア、ドイツ、カザフスタン、トルコ、フランス、ノルウェーなどの法制度を基に起草された。強制医療保険の導入に際して「強制医療保険基金」を創設し、制度を運用(第4条)。開始時期は現時点で2021年1月1日が想定されている(第46条)。ミルジヨエフ大統領は閣議で、「(強制医療保険制度の導入に向けた)新制度への移行は十分な準備の上で行わなければならない」と発言し、経済発展に資するかたちで保険産業を育成しながら、国民の福利向上を目的とする皆保険制度の導入を図る意向を表明している。
(注)ウズベキスタンの保険業界・企業に関する情報については、調査レポート「ウズベキスタンの主要保険会社の活動概況」(2017年10月)を参照のこと。
(高橋淳)
(ウズベキスタン)
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