米国務省、イラン産原油輸入禁止後、中国企業に初の制裁発動

(米国、中国)

米州課

2019年07月24日

マイク・ポンペオ米国務長官は7月22日、対イラン経済制裁に違反してイラン産原油を受け入れたとして、中国の国営石油企業・珠海振戎(Zhuhai Zhenrong)とその経営者1人に経済制裁を科す外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますことを明らかにした。米国は2019年5月から、イラン産原油の全面禁輸に踏み切っているが、今回の措置は全面禁輸後、初めての制裁発動となった。

中国はイラン産原油の最大の輸入国で、2018年上半期には日量64万4,000バレルを輸入していた。米国政府がイラン産原油の全面禁輸に踏み切った2019年5月以降もイラン産原油が中国に引き続き輸送され、中国内の「保税倉庫」に積み上がっていると伝えられている。こうした保税扱いの原油は通関していないため、輸入には当たらず、中国側の輸入統計にも計上されていない。このため、イラン産原油の「輸入」を禁止した米国の制裁には抵触しないとの見方もあった(ブルームバーグ7月22日)。

さらに、中国では国営石油企業CNPCが、イランの北アザデガン石油開発プロジェクトに参加しているが、その出資の見合いとして、イラン産原油の受け入れを行なっており、これについては国務省内部でも許容する議論があると伝えられていた(ポリティコ7月3日)。

今回の米国側の措置は、イラン産原油が中国へ移送され、イランがその見返りとして実質的に石油代金を受け取っていることに対して、イランへの圧力を最大限、強化するとの観点から行われたものとみられている。

(木村誠)

(米国、中国)

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