地場ライオンズボットの清掃用ロボット、2020年3月までに300台導入

(シンガポール)

シンガポール発

2019年07月26日

清掃用ロボットの開発を手掛ける地場企業ライオンズボットは7月17日、自社で開発から製造まで手掛ける清掃用ロボットの正式導入を記念した式典を実施し、2020年3月までにシンガポール国内で6社の清掃業者と提携し、300台を導入する計画を発表した。同社は2018年2月に創業し、同年11月にプロトタイプの清掃用ロボットを発表した。2019年4月には、大規模商業施設「ジュエル」と、シンガポール国立美術館で試験導入が始まっていた(2019年5月30日付地域・分析レポート参照)。

写真 正式導入が発表された清掃用ロボット(ジェトロ撮影)

正式導入が発表された清掃用ロボット(ジェトロ撮影)

同社は、ディラン・ン・タンザー最高経営責任者(CEO)と、その妻ミシェル・ソー氏が、シンガポール工科デザイン大学(SUTD)のモハン・ラジェ・エラーラ助教授と共に設立した。清掃サービス会社として、クリーニングに関するノウハウを持つほか、全ての製品について、企画から設計、製造まで自社で行い、「シンガポール国内で開発し、シンガポールで製造する」がモットー。清掃サービス会社に対するリース価格は月額1,350~2,150シンガポール・ドル(約11万~17万円、Sドル、1Sドル=約79円)で提供されるという。なお、同社のエンジニアは日本人1人を含めた35人で、国内外から優秀な人材を確保している。

同社のロボットは、13種類の異なるタイプのモデルがあり、擦り落とし(scrub)、モップがけ(mop)、吸い取り(vacuum)、掃き集め(sweep)、磨き上げ(shine)、清掃用具の運搬などが可能だ。式典では、清掃用ロボットのデモンストレーションが行われ、ロボットの清掃能力の高さや複数のロボットによるスムーズなチーム作業などが示された。また、新シリーズのロボットとして、急なスロープを上る能力を持つ「LEOPODS」が紹介された。同ロボットは、2020年3月から運用開始が予定されている。

式典に出席したコー・ポークン上級国務相は、2016年に開始したナショナル・ロボティクス・プログラム(NRP、注)により、製造、物流、清掃などさまざまな産業や業界でロボティクスの活用および自動化が進んだと述べた。また、政府として生産性向上に向け、継続的に支援するとし、「ロボティクス産業において、今後5年間の投資で3億Sドル以上の投資額と、1,000人の新たな雇用機会創出が見込める」と語った。

(注)ナショナル・ロボティクス・プラグラムは、シンガポール政府がロボティクス技術を発展させるために、さまざまな産業に対してロボットの活用および自動化を支援するプログラム。

(安野亮太)

(シンガポール)

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