EU・メルコスールのFTA、発効後15年間でGDP1,250億ドル増を予測

(メルコスール、EU、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)

サンパウロ発

2019年07月02日

6月27日から28日にかけて、ブリュッセルで開催された閣僚会議で合意したEU・メルコスール間の自由貿易協定(FTA)について、ブラジル経済省は28日、外務省および農業・畜産・供給省との共同発表で、FTA締結によるブラジルへの経済波及効果の試算を発表した。

発表では、本協定の意義について「国内製造業は高度な技術をより低価格で調達することが保証され、ブラジル経済の競争力を高め、障壁削減、法の安定性向上、ルール透明化により、ブラジルをグローバルなバリューチェーンに組み込むことが容易となる。さらに、投資、雇用、収益の増加を生み出し、消費者も競争力のある価格でより多様な製品にアクセスできる」としている。さらに、「通信、建設、流通、観光、交通、そして金融的サービスなど各サービス分野における実質的なアクセスが保証される。公共調達ではブラジル企業が推定1兆6,000億ドルと推定されるEUでの公共入札へのアクセスが確保され、また本協定での取り決めにより、輸出入や財の移動において手続きが迅速化し、コストも削減される」としている。

経済省は、EUとのFTAによるブラジルのGDPへの貢献度を予測した。FTAによって発効後の15年間で、ブラジルのGDPが875億ドル増加、さらに非関税障壁が軽減されることなどを加味すれば、同期間のGDPは1,250億ドル増加すると推定している。また同期間の投資受入額は1,130億ドル増加すると予測している。ブラジルのEU向け輸出は2018年に760億ドルだが、2035年までに約1,000億ドル増加すると推定している。

ボルソナーロ大統領は自身のツイッターで、EUとのFTA交渉合意について、「歴史的な快挙」とエルネスト・アラウージョ外相率いる交渉チームをたたえ、本協定が最も重要な貿易協定の1つで、ブラジル経済に大きな恩恵をもたらす、と評した。

また、大統領は「イデオロギーに関係なく全世界と貿易を行うと約束しており、経済を開放しブラジルを変えよう!」とツイッターの中で呼び掛けている。

(大久保敦)

(メルコスール、EU、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)

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