第2四半期の日本の対中輸出、減少基調が鮮明に

(中国、日本)

アジア経済研究所新領域研究センター

2019年07月22日

2019年第2四半期(4~6月)の日本の対中貿易額は、輸出が前年同期に比べ減少したが、輸入はほぼ前年同期並みだった。輸出は、貿易の実勢を示す数量指数が3四半期連続の減少となり、弱さが鮮明となっている。もっとも、第1四半期(1~3月)に比べれば、輸出額は増加し、輸入額は減少したため、貿易収支(日中の輸入統計に基づく)は黒字に転じている。

対中輸出は数量減が続く

財務省の7月18日の発表によると、第2四半期の対中輸出は、前年同期比8.7%減の3兆6,273億円だった(表1、表2参照)。価格は前年同期並みだったが、数量の減少(8.6%減)が大きかった。数量は2018年第4四半期(10~12月)以降減少が続き、輸出の減少基調が鮮明となっている。第2四半期の対中輸入は、0.1%減の4兆4,701億円だった。数量の減少(0.5%減)が価格の上昇(0.4%増)をわずかに上回った。

対中貿易収支は黒字に転じる

日中間の貿易収支は、日本も中国も自国統計では赤字だが、双方の輸入統計を突き合わせると、第2四半期の日本の対中貿易収支は2,226億円の黒字となった。黒字に転じた理由は、第1四半期との比較で輸出が増加(中国の対日輸入がドルベースで9.8%増加し、ドルレートは対円で0.3%下落)した一方、輸入は減少(3.0%)しており、ともに収支にプラスに働いたためだ。日本の対中貿易収支は通年では2017、2018年は日本の黒字だったが、四半期でみれば黒字と赤字が交錯しており、黒字基調とは言い難い。

日本の対中輸出と中国の対日輸入、日本の対中輸入と中国の対日輸出は同じものを反対方向から見たにすぎないが、貿易統計上は乖離が生じる。理由としては、日本の貿易統計が円建てであるのに対し、中国の貿易統計はドル建て(元建ても公表)であること、日中間を財貨が移動する間に月が変わることがあることに加え、日中間には香港経由の貿易(香港を仕向け地としている財)が一定量ある中、輸出は仕向け地主義、輸入は原産地主義で集計されることなどが指摘できる。従って、日中双方の輸入統計を突き合せた貿易収支の方が、いずれかの国の統計の貿易収支より実態に近いと考えられる。

表1 日本の対中貿易の推移
表2 日本の対中貿易の伸び率の推移(前年比、前年同期比、前年同月比)

(箱崎大)

(中国、日本)

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