中国、上半期のGDP成長率は6.3%に減速

(中国、米国)

北京発

2019年07月24日

中国国家統計局の7月15日の発表によると、2019年上半期の実質GDP成長率は前年同期比6.3%となった。第2四半期(4~6月)は6.2%で、四半期ベースでの統計が確認できる1992年以来最低の水準だった(添付資料の図参照)。

主要経済指標をみると、消費(社会消費品小売総額)は前年同期比8.4%増で、第1四半期(1~3月)から0.1ポイント拡大したものの、前年通年(9.0%)より低い水準となった(添付資料の表参照)。

インターネット小売額は前年同期比17.8%増と高い伸びが続いているものの、前年通年(23.9%増)や2017年通年(32.2%増)と比較すると伸び幅は縮小している。

小売業態別の売上高(一定規模以上)の伸び率をみると、百貨店が前年同期比1.5%増、スーパーマーケットが7.4%増となるなど、いずれも消費全体の伸び(8.4%増)を下回っており、実店舗小売りの不調がうかがえる。

工業生産増加額〔付加価値ベース、年間売上高2,000万元(約3兆2,000億円、1元=約16円)以上の企業が対象〕は前年同期比6.0%増で、前年通年からが0.2ポイント縮小した。金属切削機械10.5%減、工業用ロボット10.1%減、自動車14.2%減、スマートフォン4.8%減、集積回路2.5%減となった。

投資(固定資産投資総額)は前年同期比5.8%増で、第1四半期から0.5ポイント減速した。うち、製造業の投資は前年同期比3.0%増で前年通年からは6.5ポイント減速した。交通銀行の連平主席エコノミストは、製造業の投資が減速した理由について、「輸出型製造業が貿易摩擦と世界経済の成長の鈍化の影響を受けているため」と指摘した(「21世紀経済報道」7月16日)。

インフラ投資は前年同期比4.1%増で、第1四半期から0.3ポイント減速した。2017年には前年比19.0%増と高い伸びだったが、デレバレッジなどを背景に2018年1~9月期には前年同期比3.3%増まで落ち込んでいた。その後、政府主導のインフラ投資拡大策などにより若干の回復を見せたものの、2017年と比較すると低い水準から回復できていない。連氏は特別地方債(専項債)の発行枠の拡大などによるインフラ投資の底上げ効果が顕著に表れていないことについて、「主要な要因は、地方政府の隠れ債務のリスクが大きく、中央政府管理監督部門がそれに対する管理監督を緩めていないため」と分析した。

連氏は下半期のGDPの見通しについて、(1)特別な状況が発生しない場合は、外需の減速圧力が強まることなどを理由に6.3%前後となる、(2)米中貿易交渉が短期的に成果を生まない場合には、6.2%前後まで減速すると予測した。

(藤原智生)

(中国、米国)

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