イリノイ州で嗜好用大麻の購入・所持が2020年に合法化

(米国)

シカゴ発

2019年07月02日

米国イリノイ州で、嗜好(しこう)用大麻の購入と所持が2020年1月1日から合法化される。この法案は5月31日に州議会で可決され、2018年の州知事選挙運動時から嗜好用大麻の合法化を公約に掲げていたJ.B.プリツカー州知事は6月25日に法案に署名し、法律が成立した。なお、イリノイ州での医療用大麻は2014年に合法化されている。

米国では嗜好用大麻の合法化が進んでおり、イリノイ州は合法化の11番目の州だ。住民投票ではなく議会の議決によって嗜好用大麻の所持と店舗販売の合法化を決定した初めての州となる。法律は、アルコールと同様に大麻販売に関わる税制や規制について述べており、現状の付加価値税に加え、THC(デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール、大麻の有効成分)の含有レベルによって、10%以上が課税されることも盛り込んでいる。使用場所の規定が設けられ、一般公道や歩道、公園など公共の場での使用は禁止される。また、雇用主が職場での使用を、大家が所有地内での使用を、大学当局が構内での使用を禁止する権利が保障される。

賛成派の主な意見には、合法化による財政収入増加により、これまで差別的に麻薬取り締まりを受けていた貧困層地区の再生を実現し、社会正義を目指すことができるとしている。5億ドルと見込まれる2020年度の大麻合法化による追加税収は、法制化の諸経費を差し引いた後、35%が一般事業費に充てられるほか、25%は大麻犯罪で不要な取り締まりを受けている地区への補助金に、20%はメンタルヘルスや薬物依存症の治療に分配される。さらに、過去に30グラム以下の大麻所持で有罪判決を受けた者は赦免され、刑罰や逮捕履歴が抹消される。

施行後は、21歳以上のイリノイ州居住者が最大30グラムの大麻、もしくは500ミリグラムのTHCを含む各種加工製品の購入や所持が認められ、非居住者については15グラムまでの大麻の所持が認められる。

米国における大麻業界の動きは2019年1月25日付地域・分析レポート参照

(大土萌子)

(米国)

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