英産業団体、ノー・ディールへの準備評価と提言を発表
(英国、EU)
ロンドン発
2019年07月30日
英国産業連盟(CBI)は7月28日、英国とEU、および企業のノー・ディールに対する準備状況を評価した報告書を発表した。CBIは、現在ノー・ディール(英国の合意なきEU離脱)に対して誰も準備ができていないとする見解を示しており、英国・EUと企業に対してさらなる準備を進めることを提言する内容となっている。
同報告書の中では、英国政府の準備状況について、2016年から2019年までの間に40億ポンド(約5,280億円、1ポンド=約132円)を拠出、関連法令の整備など多くの準備をしてきたとする一方で、全ての企業がそれらを理解しているわけではなく、加えて、多くの対策は短期的な悪影響を緩和するためのもので、影響自体を取り除くものではないとしている。このため、特に長期的にはEUとの間でギャップが生まれ、企業への悪影響が生じうるとしており、10月末の離脱期限までの間に、テクニカル・ノーティス(技術的な通知書)などの準備策の更新と、より簡潔・明確な企業へのコミュニケーション活動、さらなる準備策の発表を行うことを求めた。
また、EUに対しては、英国よりも準備が少ないという見方を示した。ノー・ディールの破壊的な影響を緩和するための準備された方策はより限定的としており、さらなる準備策の検討を求めた。英国企業が第三国企業としてEUで活動を行うための重要な許認可申請を9月初めには行えるようにすることや、暫定措置の拡大などを求める。
企業についても、ノー・ディールに対する準備に既に何十億ポンドもの資金を投じているものの、準備が完了していないという問題意識を踏まえ、ノー・ディール対策を再開し、英国・EU双方の政府とのコミュニケーション強化を呼び掛ける。
さらに、少なくとも北アイルランドとアイルランドとの国境問題に関しては、一方的な措置では解決できず、仮にノー・ディールになった場合でも、英国・EU間の交渉の必要性がなくなるわけではないと訴え、早期の再交渉の開始を求めた。
報告書では、国境検査や関税あるいは製品の規制など、モノの移動に関する準備がいまだ少ない状況にあることが示されている。
(木下裕之)
(英国、EU)
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