2019年の実質GDP成長率は1.3%を予測、個人消費は持ち直し

(フランス)

パリ発

2019年07月02日

フランス国立統計経済研究所(INSEE)は6月20日、2019年通年の実質GDP成長率を1.3%とする予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。内需を軸に2019年末まで四半期ベースで0.3%の成長が続く。実質GDP成長率は2017年に2.4%のピークを付けた後、2018年は1.7%に減速。2019年もこの動きが続く見通しだ。

マクロン大統領が「黄色いベスト」の抗議運動を受けて2018年12月に打ち出した低賃金労働者向けの購買力引き上げ措置(法定最低賃金の引き上げ、残業手当に関わる税・社会保険料の減免など)(2018年12月12日記事参照)や、消費者物価上昇率の低下(1.8%から1.2%)などから、家計購買力は前年比2.3%増と、2018年の1.2%増から大きく改善する見通し。これを受け、景気を牽引する民間最終消費支出は前年比1.3%増と、前年の0.9%増から持ち直す。

2017年にピークを付けた住宅投資は0.3%減と縮小に転じるが、民間設備投資は3.3%増と、前年の3.9%増からやや鈍化するものの、堅調な伸びを続ける。社会保険料軽減を受けた企業収益の改善や、低金利による良好な資金調達環境が投資意欲を支える。とりわけ非製造業における研究・開発投資、情報通信関連投資の伸びが予想される。内需(在庫の動きを除く)のGDP寄与度は1.4ポイントと、前年を0.1ポイント上回る。

他方、世界的な保護主義の強まりや米中対立激化の影響などから、輸出は2.5%増と、前年の3.5%増から減速する。輸入は内需の伸びを受け2.8%増と、前年の1.2%増から増大する。このため、純輸出(輸出―輸入)はGDP成長率を0.1ポイント押し下げる。

内需が堅調なことから、雇用情勢の改善は続く見通し。INSEEは2019年通年で24万1,000人の雇用創出が見込まれるとし、失業率は2019年末に8.3%と、前年を0.5ポイント下回ると予測した。

表 2019年経済見通し(前期比、前年比)

(山崎あき)

(フランス)

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