トランプ米政権、クリーンパワープランに代わる新規則を決定

(米国)

米州課

2019年07月08日

米国環境保護庁(EPA)は、火力発電所からの二酸化炭素(CO2)排出量を規制してきたクリーンパワープラン(CPP)に代わるものとして、「アフォーダブル・クリーン・エネルギー(ACE)ルール」を決定し、7月8日に連邦官報に公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。9月6日に発効する。

2015年10月に当時のオバマ政権が定めたCPPでは、大気浄化法の下でEPAが各州のCO2排出削減目標値を定め、各州に対して発電方法の見直しとCO2排出削減に関する州ごとの計画を提出するようトップダウンで求めた。このため、石炭火力に依存する27州と業界団体がCPPの中止を求めて、連邦裁判所に行政訴訟を起こした。これに対して、トランプ政権は、CPPはEPAの法的権限を逸脱し、州に電源構成の変更を強制するものとして、CPPの廃止とそれに代わる新ルールの策定を目指してきた(2018年1月31日付地域・分析レポート参照)。

ACEルールでは、連邦政府がCO2排出に関する指針を示すものの、各州は火力発電所の経過年数や設備更新の費用を踏まえて、安価で信頼性の高い多様な電源構成の下で電力を供給することが可能になるなど、各州政府の裁量に委ねている点が大きな特徴だ。ACEルールが実行に移された場合、米国の電力部門のCO2排出量は、2030年には2005年の水準より35%少なくなり、CPPのCO2排出削減量を上回る可能性があることEPAは示唆外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。各州政府は大気浄化法の下、ACEルールを受けて、州が実施するための削減計画を3年以内にEPAに提示することになる。

(木村誠)

(米国)

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