ドローン大手のDJI、ロボットでSTEAM教育分野に本格参入

(中国、日本)

広州発

2019年07月08日

広東省深セン市に本社を置く民生用ドローン(小型無人機)メーカーの最大手、大疆創新科技(DJI)は6月12日、教育用地上走行ロボットの新機種「機甲大師RoboMaster S1」を日本と中国で同時に発売すると発表した(「新華網」6月13日)。

ゲーム感覚でプログラミング学習

このロボットは46個のプログラミング可能な部品から構成されている。ScratchとPython(注1)のプログラミング言語に対応しており、楽しみながらプログラミング、ロボット工学技術を学べるように設計されている。

DJIはドローン市場の頭打ちを懸念し、2013年からプログラミングを学びたい人を対象とした教育用ロボットの研究開発をスタート。2015年からは中国の大学生を対象にDJI RoboMasterロボット競技大会を主催したり、2017年には日本のダンデライオンアニメーションスタジオとGONZOにより制作されたアニメーション「ロボマスターズ」を日本のWOWOWアニメプレミア(注2)と中国大手動画配信サイトのテンセントビデオで上映したりするなど、青少年を対象に、ゲーム感覚で楽しみながら科学やプログラミングを学べるSTEAM教育(注3)の開発と市場の育成に取り組んできた。

日本では、経済産業省の「未来の教室」実証事業で、STEAM教育プログラムを採択している事業者と協力しながら、ロボットプログラミング教育カリキュラムを教育機関向けに開発している。2019年夏に提供を開始する見通しで、これを機に日本のSTEAM教育市場にも本格参入する予定だ。

(注1)Scratch(スクラッチ)は、米MITメディアラボが開発し、世界中の小中学校で使用されている標準的なビジュアルプログラミング言語。Python(パイソン)は、汎用(はんよう)のプログラミング言語で、シンプルで扱いやすく設計されている点が特徴。

(注2)「ORICOM NEWS」2016年2月5日。

(注3)STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(ものづくり)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた造語。STEAM教育ではこの5分野が重視されている(小学館「Sphero完全ガイド」2018年7月)。

(盧真)

(中国、日本)

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