ウクライナ、史上初となる米国からの原油輸入を開始

(ウクライナ、ロシア、米国)

タシケント発

2019年07月12日

ウクライナ南部・黒海沿いのオデッサ港を経由して、米国産原油の輸入が開始された。米国産原油の直接輸入は、ウクライナの歴史上初めて。7月6日に、オデッサ港を管理する「オデッサ海洋港」が報じた。

今回オデッサ港に到着したのは、香港船籍のタンカー「ウィズダム・ベンチャー号」で、米国シェールオイル主要産地であるバッケン地区(ノースダコタ州、モンタナ州)産7万5,000トンの原油。同原油は、ウクライナ・ロシア(タタルスタン共和国)合弁企業「ウクルタトナフタ」がウクライナ中部ポルタワ州クレメンチュクにある同社製油所向けに調達したもの。

クリミア半島とウクライナ東部の紛争をめぐり、ロシアとウクライナは相互に貿易制限措置を課している。2019年4月18日にはロシア政府がウクライナ向け禁輸対象品目に石油、石油製品を加え、石炭、ガソリン、ディーゼル燃料を輸出許可対象品目に指定した(2019年4月22日記事参照)。ウクルタトナフタは、ロシア政府による貿易制限措置発表後の4月25日に「ウクライナの燃料市場の安定化に力を尽くす」とのプレスリリースを発表しており、今回ロシア産原油の代替として米国産原油の輸入に踏み切ったものとみられる。調達価格などに関する情報は公開されておらず、持続的な価格設定であるかは不明だ。オデッサ海洋港は、次回輸送は8月に行われると予想している。

(高橋淳)

(ウクライナ、ロシア、米国)

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