パラグアイ原産自動車部品へのメルコスール対外共通関税適用、ブラジル政府が中断

(ブラジル、パラグアイ、メルコスール)

サンパウロ発

2019年07月10日

ブラジル政府輸出入貿易業務ポータルサイト、貿易統合システム(SISCOMEX)は7月8日、輸入通達第34号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます公示した。パラグアイ原産の自動車部品に対して、メルコスール対外共通関税率(TEC)を適用することを通達した6月28日付輸入通達第30号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの適用を、中断することを発表した。

適用中断の理由については、輸入通達第34号はブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイで運用されている、経済補完協定(ACE 18)第13条の適用範囲について連邦収税局の調査が完了していないため、と説明している。

ACE 18により、自動車・同部品と砂糖は対象外で、メルコスール域内の貿易であっても優遇関税を適応して輸入することができない。そこで、自動車・同部品の場合、メルコスール域内では、ブラジルはアルゼンチン、ウルグアイとそれぞれ自動車協定を締結している。ブラジル・パラグアイ間では自動車協定が存在しないため、輸入通達30号により、TECが課されることを周知していた。パラグアイからのブラジル向け主要輸出産品は、ワイヤーハーネス(NCMコード8544.30.00)で、TECは16%となっている。

輸入通達第30号以前は、ブラジル連邦収税局はACE 18の規則とは異なり、場合によりメルコスール優遇関税ゼロを適用していたものの、パラグアイによる中古車輸入の制限を主張するブラジルとの2国間自動車協定がまとまらないために、同通達第30号の中断の周知に踏み切ったとみられている。

今回の一連の動きは、ブラジル側で一切報道がみられないが、パラグアイ側では7月9日付「ラ・ナシオン」、7月9日付「ABC」、7月6日付「ウルティマ・オーラ」など各紙が連日、大々的に報道している。

パラグアイのカスティグリオーニ外相は7月7日、輸入通達第30号中断措置の連絡をブラジル側から受けたことを発表。7月9日付のパラグアイ外務省ウェブサイトによれば、今後の2国間自動車協定交渉に向けて、落ち着いた状態と信頼を回復できたと明らかにする一方、政府は中古車輸入業界も含めた国内自動車関連産業の利害を放置しない旨を強調した。外相およびリス・クラメール商工相は翌8日、ブラジルとの2国間自動車協定交渉を合意させたい意向を発表し、クラメール商工省は交渉に向け、ウルグアイとはACE 2第76回追加議定書を研究していることを明らかにした。

自動車部品産業と中古車輸入業界それぞれの立場を踏まえ、ブラジルとの2国間自動車交渉をどうまとめ上げるか、パラグアイ政府の厳しいかじ取りが続きそうだ。

(大久保敦)

(ブラジル、パラグアイ、メルコスール)

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