小売業売上高が通年で2桁マイナスも、高級店中心に香港デモの影響が顕在化

(香港)

香港発

2019年07月19日

香港小売管理協会(HKRMA)は7月16日、今般発生している香港の大規模デモが小売業に与える影響について、現下の情勢が継続すると、2019年通年での売上高は2桁のマイナスになるとの予測を発表した。

発表の中で同協会は、以下の内容を述べ、政府に対し、問題の早期・平和的解決と社会秩序の復旧を呼び掛けた。

  • 大部分の会員企業は、6月および7月第1週の売上高が平均で1~2桁のマイナスとなっている。
  • 7月および8月は例年、小売業にとって夏休みの書き入れ時となる。しかし、今般発生している大規模デモは香港内各地に広がっており、会員企業のビジネスに大きな影響を与えるとみられ、売上高は2桁のマイナスとなることも予想される。
  • 大規模デモにより、営業を一時見合わせた店舗がある。企業だけでなく、従業員の収入にも影響が出ている。

小売業の中でも特に、宝飾や腕時計など高級品を取り扱う店舗は苦戦を強いられている。7月17日付の「星島日報」によると、香港百貨・商業従業員総会の分析として、主に富裕層向け小売店の売上高は、マーケットのセンチメント(市場心理)の影響を受けやすく、今般のデモによる影響も比較的大きくなっている。観光客が集まる地区に出店している高級小売店については、閉店する店舗が継続的に出てきてもおかしくないとした。一方、大衆店は市民の日常生活に対する需要を満たす必要があり、影響は少ないとしている。

また、高級宝飾品販売の周生生(Chow Sang Sang)は、6月のグループの売上高は前年同期に比べて10%のマイナスとなっており、中でも尖沙咀(チムサーチョイ)、銅鑼湾(コーズウェイベイ)、旺角(モンコック)といった観光客の集まるエリアで、デモの影響を受けている。観光客自体が減少しているほか、特に中国大陸からの旅行客の消費意欲が減退しているという。7月と8月は観光のハイシーズンだが、2019年は大きな期待はできず、同社は従業員の年休取得を推奨している。

(渕田裕介)

(香港)

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