デジタルでは教育にも課題、気候変動分野では英国と連携

(イタリア)

ミラノ発

2019年07月05日

6月28、29日に開催されたG20大阪サミット(首脳会議)やその他のG20会合に関連した論評がメディアで報じられ、要人の発言も伝えられている。経済紙「イルソーレ24オーレ」は、デジタル課税ルールの策定について取り上げ、福岡でのG20財務相・中央銀行総裁会議後の6月12日に、デジタル経済においては、多国籍企業の所得に対する課税権限の分散など、国際ルールの策定で未解決の課題が多いことを指摘し、「前途は長い」との見出しで報じた。その他のイタリアメディアでも、デジタル経済での課税ルール策定になお時間を要するとの見方が強かった。

またG20大阪サミット開催前に発表されたOECDの調査結果に触れ、イタリアでのビジネス現場でIT活用に関する教育不足の課題を指摘する報道もみられた。同調査結果によると、イタリアの労働者のインターネット・情報セキュリティーソフトウエアの利活用の度合いやIT関連の継続的な教育の実施率などが低いことが明らかになっていた。

気候変動問題については、G20大阪サミット後の記者会見において、ジュゼッペ・コンテ首相が、各国の立場の違いが複雑化しており、合意を得るのがより困難になっている現状を指摘しつつも、良い成果が得られたとコメントした。また、2020年に開催予定の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の議長国に立候補する、英国とのパートナーシップ(COP26を英国で開催、関連会合をイタリアで開催する計画)に言及しつつ、「気候変動対策において、イタリアはパリ協定を重視している」と述べた。

イタリアの財政問題については、サミット後の記者会見において、メディアからコンテ首相に質問が集中したが、コンテ首相は財政に関わるEUからの制裁措置に関する事項に関して、「(G20および前後する2者会談は、イタリアの財政規律に関する)交渉の場ではない」としつつ、税収増などに言及し、制裁が回避される水準となることを示した。その後、7月3日にEUは、イタリアの2019年予算修正による財政赤字見通しの圧縮を踏まえて、制裁手続き入りしないことを決定している。

(山内正史)

(イタリア)

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