ソカール、在トルコ製油所向け原油をイラン産からイラク産に切り替え

(アゼルバイジャン、トルコ、イラン、米国)

欧州ロシアCIS課

2019年06月07日

アゼルバイジャン国有石油会社ソカールは、同社が所有するトルコのスター製油所(イズミル県)向け原油について、7月からイラン産からイラク産に切り替える。6月6日にソカール・トルコのザウル・ガフラマノフCEO(最高経営責任者)がメディア向けに言及したもの。

同製油所がイラン産原油を調達・精製することで、同社が米国の対イラン制裁措置に抵触する可能性があることが理由。同製油所があるトルコは、同制裁措置の特例措置対象国として認められていたが、2019年5月2日以降、同特例措置が撤廃され、トルコ政府は米国政府を批判していた(2019年4月23日記事参照)。

スター製油所は2018年10月に操業を開始。生産能力は年間1,000万トン(2018年10月30日記事参照)。ガフラマノフ氏によると、現時点で150万トンの原油を精製しており、今後はイラク産原油を含め、2019年末までに800万トンを精製する予定としている。

ソカールを所有するアゼルバイジャン政府について、緊張が高まるイラン・米国関係への対応に苦慮していると指摘する声もある。在バクーのシンクタンクはジェトロに対し、a.イラン政府はイラン北部を中心に人口の4分の1を占めるアゼルバイジャン系住民の動向に関心を持っている一方で、b.アゼルバイジャン政府はイランとの間で輸送分野を中心に相互利益となる経済事業を推進することで互いの緊張緩和・関係正常化に努めてきた(2018年2月1日記事参照)、c.イラン国内の混乱はアゼルバイジャン系住民のアゼルバイジャン国内への難民の流入などにつながりかねず、アゼルバイジャン政府もその事態を望んでいないが、d.米国やイスラエルなどとの関係も無視できずジレンマに立たされている、とのコメントを寄せている(6月1日)。

(高橋淳)

(アゼルバイジャン、トルコ、イラン、米国)

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