海南省、10億元規模のeスポーツ産業ファンドの設立を計画
(中国)
中国北アジア課
2019年06月28日
海南省旅游・文化広電体育庁の孫頴庁長は6月20日、eスポーツ産業の発展を支援する6条の政策(以下、「海六条」)を発表した(表参照)。「海南日報」(6月21日)が伝えた。「海六条」には、10億元(約160億円、1元=約16円)の投資によるeスポーツ産業ファンドの設立計画や、優秀なeスポーツプレーヤーなどへの戸籍獲得や住居購入などへの支援などが盛り込まれている。孫庁長は、海南省がeスポーツの国際的な玄関口になれば、オンラインのゲームとオフラインが融合した「旅行+スポーツ」という消費モデルが生まれる、とコメントした。
中国で盛り上がるeスポーツ
海南省のみならず、中国ではeスポーツが盛んになってきている。中国音数協遊戯工委(GPC)などが発行する「2018年の中国ゲーム産業年報(簡略版)」によると、2018年のeスポーツのユーザー数は前年比17.5%増の4億2,800万人と推計されている(図参照)。統計を取り始めた2014年と比較すると、3倍近くに伸びている。
また、2018年にインドネシアのジャカルタで開催されたアジア大会(アジア版オリンピック)では、eスポーツがデモンストレーション競技として実施され、中国選手が金メダルを獲得した。2022年のアジア大会は中国の浙江省杭州市で開催の予定だが、その際、eスポーツは正式種目として実施される見込みだ(中国日本商会「中国経済と日本企業2019年白書」参照)。中国でeスポーツの注目度は、より高まるとみられる。
中国政府も、eスポーツ振興を後押ししている。国務院が2018年9月に打ち出した「消費体制メカニズム改善促進の実施方案」では、eスポーツなどのスポーツ消費の新業態を積極的に育成するとしている。また、海南省のほかにも、上海市のようにeスポーツ産業発展のための政策を打ち出している地域もある。同市は「世界のeスポーツの都」を目指しているという(「人民網」6月13日)。
中国で消費分野が多様化していく中、eスポーツは若者を中心に注目を集めている。中国のeスポーツ市場は今後、日本のゲーム関連企業に大きなチャンスをもたらすかもしれない。
(楢橋広基)
(中国)
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