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唯一の国際河川港、ロシア・中央アジア・アジアにも物流拡大へ

(モルドバ)

欧州ロシアCIS課

2019年06月20日

ウクライナとルーマニアに挟まれ、日本の九州よりやや小さい国土に約360万人が住むモルドバ。有名なワインなど農業・食品加工業が主力産業だ。同国南部でウクライナとルーマニアとの国境を隔てるのが国際河川・ドナウ川で、上流は中欧、下流は黒海まで至る(図参照)。そのドナウ川には、モルドバが有する唯一の国際河川港・ジュルジュレシュティ港がある(注1)。同港を管理・運営・開発するのは、オランダ資本企業のダヌベ・ロジスティクスだ。積極的なインフラ投資とビジネス開拓で、同港の存在感が高まっている。同社のマティアス・フォン・トーチャー社長、アラ・アイドフ副社長に話を聞いた(5月23日)。

図 モルドバ周辺地図
写真 トーチャー社長(右)とアイドフ副社長(ジェトロ撮影)

トーチャー社長(右)とアイドフ副社長(ジェトロ撮影)

(問)取扱貨物量は年々上昇し2018年には100万トンを突破している。港を通る貨物の流れについて。

(答)前年比10%となった2018年の実績105万トンの内訳は、輸入が52万トン、輸出が53万トンでほぼ均衡している。輸入の72%はEUで、ルーマニアが主力。最近伸びているのはロシア(シェア22%)からの石炭、肥料、石油製品だ。ロシア・ウクライナ間の緊張が高まった関係で、陸上(鉄道)輸送ではなく、黒海を経由してジュルジュレシュティ港まで輸送されてくる。現在、輸入取り扱い貨物の拡大に努めており、ロシアのほか、トルクメニスタンからの肥料輸入などの交渉を進めている。

輸出に関しては、57%がEU向け、26%がトルコ向け、インドネシア向けが3%などとなっている。インドネシア向けは、コンテナで輸送される穀物などだ(注2)。日本向けは、2018年実績で輸入が42トン(コンテナ3本)、輸出が335トン(コンテナで20本)だった。主に、ワイン製品と思われる。リーファーコンテナ(定温管理可能なコンテナ)の利用も可能で、将来さらに日本・アジアとの物流増加を期待している。

写真 港湾の全景、左奥に見えるのがドナウ川(ジェトロ撮影)

港湾の全景、左奥に見えるのがドナウ川(ジェトロ撮影)

(問)ジュルジュレシュティ港のインフラ整備に積極的に投資している。今後の投資戦略について。

(答)1つ目は、輸入肥料の保管スペースを拡大する。2つ目は、エタノールとバルクワインの出荷設備として、2019年8月までに合計3,000トンのタンク(750トン容量を4基)を設置する工事を進めている。港には、石油(輸入)、コンテナ・一般貨物の各ターミナル・ヤードに加え、パートナー企業の投資による植物油(輸出)、2つの穀物ターミナルがある。ダヌベ・ロジスティクスが港湾管理を開始した2005年以降、モルドバ政府による特区の枠組みを通じた税優遇(法人税の減税など)や欧州復興開発銀行(EBRD)の支援を受けながら、累計で7,000万ドル近くの投資を行っている。

写真 コンテナヤード(ジェトロ撮影)

コンテナヤード(ジェトロ撮影)

(注1)元来はウクライナ領で、両国政府の合意により、ウクライナ側は同国南部のオデッサ州を2つに分割するモルドバ南東部パランサを通過する道路の通行権・管理権を取得し、一方、モルドバ側はジュルジュレシュティ近郊でドナウ川へのアクセスを得た。

(注2)ジュルジュレシュティ港は、ルーマニアのコンスタンツァ港との間で週1回のコンテナ・フィーダー輸送で結ばれている。ダヌベ・ロジスティクスによると、黒海経由でモルドバの首都キシナウへコンテナを輸送する場合、ウクライナ・オデッサ港経由の陸上輸送コストが約1,200ドルになる一方、ジュルジュレシュティ港経由は同フィーダー輸送が320ドル、モルドワ国内陸上輸送が450ドルで、コスト競争力を十分維持できるとしている。

(高橋淳)

(モルドバ)

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