関税規則の改正、追加関税などの対象製品に原産地証明書を要求

(トルコ)

イスタンブール発

2019年06月26日

トルコでは官報30783号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2019年5月24日付)において関税規則の変更が発表され、追加関税などの対象商品については原産地証明書の提出が求められることとなった。本改正は一部の内容を除き、即日発効した。

今回の関税規則改正の主なポイントは、原産地証明書による原産地の確認を要する条件として、従来の「原産地に基づく貿易措置対象」に加え、「追加関税や追加金融措置などの対象」が追記された点、および「欧州からATR証明(注)を伴って輸入する場合、トルコ政府による原産地確認において疑念がない場合、原産地証明書は要求されない」といった旨が追記された点だ。

現時点で確認できた実例では、本改正にもかかわらず、ATR証明を伴って輸入する際にトルコ輸入業者から原産地証明書を依頼されているケースがあり、本改正による原産地証明書の省略基準などは把握できていない。そのため、ビジネス関係者からは「全ての企業は原産地証明書を取得した方がよいのでは」との声も聞かれている。なお、原産地証明書は、原産国または輸出国で発行されたものが有効とされる。

あいまいだった原産地の証明

ここ数年、トルコ政府は追加関税を強化しており、その対象を拡大させている。また、品目によっては特定国の原産品について、ATR証明を伴ってEUから輸入する際に課される住宅開発基金課徴金などの追加金融措置も存在する。これらの対象商品を輸入する場合、その適用有無を確定するために原産地情報が必要となるが、その提示方法についてはEU原産品以外は明確に定まっておらず、必要に応じて原産地証明書や自己宣言書を提示していた。

2018年ごろからこの運用はしだいに厳格化し、原産地証明書の原本を求める動きがみられた。これにはトルコ企業からも不満の声が聞かれ、イズミル商業会議所は同年9月、貿易省に対し「ATR証明を伴って輸入を行う場合、明確な規定がないにもかかわらず追加書類として原産地証明書を求められている。トルコ企業のコストを引き上げ、競争力低下をもたらしている」と訴えていた。

トルコ政府は、今回の規則改正外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによって、原産地証明書の位置付けを明確化し、実態と規則の整合性を取りたかったものとみられる。

(注)ATR証明:モノの原産国に関係なく、トルコを含むEU/EFTA関税同盟域内で通関手続きが一度完了した物品であれば、域内では原則として無関税もしくは低税率でモノの再輸出や自由移動ができることを証明する書類。

(中村誠)

(トルコ)

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