製造業の輸出拡大に向けた政策を見直しへ

(インド)

ベンガルール発

2019年06月14日

インド商工省は5月26日、2018年度の経済特別区(Special Economic Zone:SEZ)からの輸出額が前年度比20.7%増の7兆117億9,000万ルピー(約11兆2,189億円、1ルピー=約1.6円)と発表した(表参照)。SEZからの輸出額はインドの輸出額全体の約30%を占める。一方、輸出品目はソフトウエアやITサービスが中心で、インド政府が目指す製造業輸出へ十分に貢献できていない。

表 SEZからの輸出額の推移

6割強がITを主体とするSEZ

インドでは、2019年5月時点で416カ所がSEZとして認可されており、232カ所が稼働中だ。このうちIT・ソフトウエア開発および電子機器産業に限定したSEZが147カ所あり、稼働中の6割強を占める。インドでは2011年にソフトウエア企業向けの免税優遇措置(STPI)が廃止されたことを受け、多くのIT企業が新たにSEZに拠点を構えるか、あるいは既存の施設をSEZに移転した。

一方、製造業などが入居する多目的型のSEZの数は限定的だ。多目的型SEZは最低開発面積が500ヘクタール以上と定められており、土地収用の問題なども関係し、プロジェクト実施が遅れる案件が多く、現時点での多目的型SEZの稼働数は25カ所にとどまる。

政府は製造業の輸出拡大に向けた新政策を検討中

インドにおけるSEZは、中国の経済特区を参考に導入されたもので、2006年2月に発効したSEZ法およびSEZ規則に基づき、開発企業および入居企業は法人税減免措置を受けることができる(SEZにおける税制優遇措置PDFファイル(152KB)参照)。商工省は、製造業の輸出を拡大させるため、インド改造評議会(NITI-Aayog)などからの提言を基に、SEZ政策に代わる新政策の枠組みを作成する予定だ(「エコノミック・タイムズ」紙5月26日)。この見直しに伴い政府は、2017年4月1日以降にSEZ開発を開始した企業および、2020年4月1日以降に商業活動を開始するSEZ入居企業に対しては、法人税の免税措置を適用しないことを決定している。

(ディーパック・アナンド)

(インド)

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