国連ジュネーブ事務局長にロシアのバロバヤ氏が就任

(世界)

ジュネーブ発

2019年06月06日

国連は5月30日付で、ジュネーブ事務局(UNOG)の事務局長に、ロシアの外交官タティアナ・バロバヤ氏が就任することを発表した。就任は7月1日付。

バロバヤ氏は、国際経済学専攻のジャーナリスト出身で、ロシア外交官に転じ、現在はロシア、ベラルーシ、カザフスタンで構成されるユーラシア経済連合(EEU)のユーラシア経済委員会・統合・マクロ経済担当の代表を務めている。

UNOGは、1,600人が勤務し、ニューヨーク以外にある国連事務所としては最大で、世界保健機関(WHO)や国際電気通信連合(ITU)をはじめとしたジュネーブ内外の国連関係機関の資金や総務の管理を行っているほか、軍縮や人権擁護の事務を掌理している。ロシアは、同事務局を外交上で重視しており、1993年から2011年までの間、事務局長を出してきた経緯がある。今回は、現職を務めるデンマーク出身のミッシェル・モラー事務局長とポストを争った結果、地域・ジェンダーの多様性を考慮し、初の女性事務局長としてバロバヤ氏が選任された。退任するモラー事務局長は、改革途上にあるUNOGのリーダーとしてバロバヤ氏のジャーナリズム、外交や政府における経験は有用だと述べていることを、5月30日付の「ル・タン」紙が報じている。

改革途上にある国連で注目されるコミュニケーション能力

近年、国際政治において個別主義的な動向が顕著になっている中、2017年1月のグテーレス事務総長就任以来、国連はさまざまな改革を打ち出している。マンデートの実施改善を図るため、開発、管理、平和と安全の分野で改革を遂行しており、5月29日には「国連改革外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と題したウェブサイトを公開。「持続可能な開発のための2030アジェンダ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に基づく17の目標に沿った政策の実行をはじめ、安全保障改革や国連事務局体制の改革を進めているところで、UNOG事務局長にも内外とのコミュニケーション能力がより求められることとなる。

(和田恭)

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