米国の対中輸入額、第1四半期は前年同期比で13.9%減

(米国、中国)

米州課

2019年06月06日

米国の2018年の対中輸入額は前年比6.7%増加したが(2019年6月5日記事参照)、四半期ごとにみると、2019年第1四半期(13月)は前年同期比13.9%減少した(添付資料の表1参照)。対中追加関税措置の弾別に前年同期比の推移をみると、第1弾の対象品目は2018年第3四半期(79月)以降、2桁のマイナスで推移しており、第2弾の対象品目は同第4四半期(1012月)以降2桁のマイナス、第3弾は2019年第1四半期にマイナス29.7%を記録しており、追加関税賦課の影響が輸入統計に顕著に表れている。

2019年第1四半期の減少率を弾別の寄与度でみると、第3弾の対象品目がマイナス11.72ポイントで最も大きく、第1弾の対象品目がマイナス1.29ポイントとなっている。なお、第4弾候補の対象品目は0.50ポイントで前年同期比1.0%増加しているものの、構成比は55.5%を占めており、25%の追加関税が賦課された場合には、甚大な影響が懸念される。

輸入減少に寄与した品目をみると、第85類の電気機器と第84類の一般機械の減少が顕著だ(添付資料の表2参照)。まだ追加課税が行われていない携帯電話が前年同期比30.3%減少し、プリント基板実装品は74.6%減、スイッチング、ルーティング機器は29.2%減少した。主要品目で中国に代わり輸入が増加している国・地域をみると、ベトナム、韓国、台湾、メキシコなどが挙がっている。寄与度が高い順でみると、携帯電話はベトナムが2.7倍、韓国が38.0%増、プリント基板実装品は台湾が3.5倍、韓国が83.6%増、スイッチング、ルーティング機器はベトナムが3.7倍、台湾が62.7%増となっている。他方、ビデオゲーム用コンソールやその他電気機器については、主要な代替輸入国・地域がない状況だ。

輸入増加に寄与した品目をみると、第4弾候補の増加が顕著で、大型フラットパネルスクリーンは2018年第4四半期に過去最高となる19億ドルを記録し、2019年第1四半期も前年同期比52.2%と増加が続いている。リチウムイオン電池も68.6%増加した。また、制裁対象外の農業・園芸用機器は2.5倍の22,800万ドルに拡大している。第1弾の制裁対象となった乗用車(排気量1500cc3000cc以下)は、2018年第1四半期は前年同期比56.6%減と半減したが、2019年第1半期は2.3倍の36,100万ドルとなり、2017年第1四半期の水準に回復した。

※適用除外の項目を設け、各項目の金額を更新。

(中溝丘)

(米国、中国)

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