ペルー5県でギラン・バレー症候群に関する衛生緊急事態宣言を発令

(ペルー)

リマ発

2019年06月14日

ペルー保健省(MINSA)は、国内での自己免疫疾患のギラン・バレー症候群症例の急激な増加を受け、6月8日付の大統領令(013-2019-SA号)で、国内西部沿岸地域の5県(ピウラ、ランバイェーケ、ラ・リベルタッド、フニン、リマ)における90日間の衛生緊急事態宣言を発令した。大統領令により、対象自治体の患者の治療薬費用は既存予算からMINSAが負担し、かつ各種手続きを省いて迅速に対応できる体制を敷いている。

MINSA傘下の「国立疫病・疾病予防センター」が発表した最新のデータ(6月13日正午時点)によると、全国の症例数は548件に上っており、特にリマ県での症例が163件と最も多い。月別では、受動的通知体制であった1~3月は46件だったのに対し、4月以降は能動的に症例を調査した結果、6月だけで433件の症例が報告されている。

エリザベス・スレーマ・トマス保健相は、ペルーが本格的な冬季シーズンを迎えるに当たり進められている麻疹、肺炎、風疹、おたふく風邪などの予防接種キャンペーンとの因果関係について触れ、これらがギラン・バレー症候群を誘発している可能性を否定した。また、現在6人(ピウラ県3人、ラ・リベルタッド県2人、フニン県1人)に上る死亡例については、特に高齢者、高血圧患者、糖尿病患者が最も弱い傾向にあるとしている。国立疫病・疾病予防センターによれば、感染経路は現在調査中としているものの、ジカウイルスではないことは確認されており、多くの患者が発病の7日から15日前までに風邪ないしは下痢の症状を訴えたことから、呼吸器系または消化器系のウイルスの可能性を示唆している。なお、国立疫病・疾病予防センターがギラン・バレー症候群の報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公開している(スペイン語のみ)。日本の外務省も6月13日、海外安全ホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「ペルーにおけるギラン・バレー症候群患者に関する保健衛生緊急事態宣言の発出」を公開した。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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