米国の対中制裁、第4弾候補は資本財が1,000億ドル超、米大手IT企業などが適用除外求める

(米国、中国)

米州課

2019年06月25日

米国通商代表部(USTR)はこれまで計3弾の制裁措置を発動しているが、5月13日には3,805品目で構成される第4弾の追加関税対象品目リスト案を公表し、6月17日から公聴会を開催して、最終品目の検討を行っている(2019年5月14日記事参照)。ジェトロの試算によると、第4弾候補の対象品目の2017年の対中輸入額は2,552億ドルに達しており、第1~3弾の対中輸入合計額(2,249億ドル)を上回り、案どおりに制裁が発動されると、米国の消費活動への影響が懸念される。

国連のBEC(Broad Economic Categories)分類を基に、米国の制裁対象品目の対中輸入額を弾別、財別で試算したところ、第3弾の追加関税対象品目の2017年の輸入額は1,878億ドルで、そのうち中間財が890億ドルで輸入額全体の17.6%を占め、資本財は563億ドル(11.1%)、消費財は415億ドル(8.2%)にとどまっている(添付資料の図1参照)。

一方、第4弾候補をみると、資本財が1,204億ドル(23.8%)、消費財は992億ドル(19.6%)、中間財は355億ドル(7.0%)で、資本財の対象額は1,000億ドル超と際立っている。

制裁弾別に、対象品目の輸入金額の財別の構成比をみると、第3弾までは中間財の比率が最も高かったが、第4弾では、資本財が47.2%、消費材が38.9%を占めている(添付資料の図2参照)。

第4弾の制裁候補リストに挙がっている主要品目を財別にみると、資本財は携帯電話、ノートパソコン、PC用モニターなど、消費財は繊維、プラスチック、フラットパネルディスプレー、食卓・台所用品、クリスマス装飾品など、中間財は玩具、不揮発性メモリー、通信機器部品、アルミニウム合金などとなっており、これら製品に25%の追加関税が課されると、米国の小売売上高への影響は深刻だ。第4弾に関するパブリックコメントのサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますには、6月23日時点で2,719のコメントが提出されており、アップル、インテル、デル・テクノロジーズ、HP、マイクロソフトなどの米国主要IT企業をはじめ、ベストバイ、JCペニー、メーシーズなどの米国小売り大手、日系企業も臼井国際産業、NEC、エプソン、キヤノン、セガサミー、ソニー、ダイキン、任天堂、日立、パナソニック、ブラザー、三菱ケミカル、ヤマハの米国子会社などが第4弾追加関税の適用除外を求めている。

(中溝丘)

(米国、中国)

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