第1四半期のGDP成長率はマイナス5.8%

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年06月27日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は6月21日、2019年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前年同期比マイナス5.8%、前期比マイナス0.2%となったと発表した。前年同期比では4期連続、前期比では5期連続のマイナス成長となった。10月に行われる大統領選挙で再選を目指すマウリシオ・マクリ大統領にとっては、経済の厳しいかじ取りが続く。

産業分野別では、生産部門の主力産業である「農業・牧畜・狩猟・林業」(前年同期比7.7%)や「漁業」(5.5%)が好調だったものの、その他の生産部門の産業は軒並みマイナス成長となった(表参照)。特に製造業は10.8%減と落ち込みが大きくなり、4四半期連続のマイナス成長だった。サービス部門では、「室内サービス含めた個別住宅」(8.9%)が最も高い伸びを示した一方で、「商業(大手・零細)・修理」(12.6%減)、「金融仲介」(10.3%減)の落ち込みが目立つ。高金利政策が続いていることによる国内消費の落ち込みが影響を与えている。

表 四半期別の実質GDP成長率〔前年(同期)比〕

需要要素別にみると、政府が市場開拓に力を入れている「財・サービスの輸出」(1.7%)はプラス成長を保ったものの、その他全ての項目がマイナス成長となった。特に、投資を表す「総固定資本形成」(24.6%減)の落ち込みが激しい。INDECによると、同項目のうち、輸送用設備(前年比56.1%減)と機械・装置(31.5%減)が大幅に減少し、建設(9.9%減)も落ち込んだ。通貨下落による輸入調達コスト高も相まって、「財・サービスの輸入」(24.6%減)も大幅な落ち込みとなった。また、物価の上昇によって「民間消費支出」(10.5%減)と「政府消費支出」(0.2%減)も振るわなかった。

総じて、マイナスの要素しか見当たらない結果にはなっているものの、現地調査会社エコラティーナは、2019年は大豆の収穫量が良好に伸び、価格競争力の改善によって輸出が良くなる見通しとなることから、第1四半期を景気の底として、今後は回復基調になる見通しを出している。今後のGDP成長率について、アルゼンチン中央銀行が発表している現地民間エコノミストら48人による最新の経済見通しの集計値(REM)(6月4日発表)では、2019年がマイナス1.5%、2020年が2.0%、2021年が2.5%と予測されている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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