第1四半期のGDP成長率は1.71%

(台湾)

中国北アジア課

2019年06月04日

台湾行政院主計総処(以下、主計総処)は5月24日、2019年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前年同期比1.71%と発表した(図参照)。これで2期連続の1%台となった。

2018年第4四半期(10~12月)は1.80%(2月発表から0.02ポイント上昇)と修正されたが、2018年通年の実質GDP成長率は2.63%と、2月発表時と変わらなかった。

図  台湾の実質GDP成長率の推移(年別、四半期別)

外需は引き続き弱含み

第1四半期の成長率を需要項目別寄与度でみると、内需は1.72ポイントと、前期の3.14ポイントから大幅に低下した。主計総処は、総合商品や無店舗小売販売が引き続き増加したものの、自動車・バイク、情報通信機器・家電製品の販売不振などの影響を受けたものと指摘している。

民間投資の伸びは6.45%増、寄与度は1.18ポイントと前期よりそれぞれ上昇し、固定資本形成の伸びは6.33%増、寄与度は1.31ポイントとなった。これは、商用小型バスや航空業界の機体購入が減少する一方で、国内の半導体メーカーの資本支出が増加したことによる。

外需の寄与度は、マイナス0.01ポイントと3期連続でマイナスとなったが、マイナス幅は前期に比べ1.33ポイント縮小した。このうち、輸出は0.61ポイント(前期:1.08ポイント)、輸入は0.61ポイント(2.42ポイント)だった(表参照)。

表  GDP成長率への需要項目別寄与度

主計総処は外需の特徴について、輸出は、産業の閑散期に加えて、前年の基数の高さによる影響を受けたことを挙げ、輸入は、半導体設備の増加により資本設備輸入が大幅に増加したものの、原材料や消費品などの輸入が縮小したことによるものと説明した。

2019年通年予測を2.19%に下方修正

主計総処は、米中貿易摩擦に向けた協議が進展しないことから、主要な国際機関が2019年の世界の経済成長率を下方修正していることや、世界の景気が弱含んでおり、スマートフォンなどモバイル通信機器への購買意欲が低迷し、半導体の在庫調整などが輸出に影響を与えるとみている。他方、台湾企業の回帰投資が増加しており、国内の生産能力の増大などが見込まれ、これらがマイナスの影響を相殺すると予想し、2019年通年の成長率を2.19%とした。2月発表の2.27%から0.08ポイントの下方修正となる。

(嶋亜弥子)

(台湾)

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