中国の米国自動車輸入、適用除外措置の行方に注目、データで見る米中貿易摩擦

(中国、米国)

中国北アジア課

2019年06月10日

中国は現在、米国原産の輸入品に対し、第1~第3弾で合計6,000品目以上に追加関税措置を発動している。ただし、一部適用除外品目を定めており、米国原産の完成車と自動車部品に対しては、1月以降、関税率引き上げを一時的に停止している(2019年4月2日記事参照)。

具体的には、HSコード87類に該当する自動車関連の211品目だ。2019年第1四半期(1~3月)までの米国からの輸入動向をまとめところ、1月以降、関税率引き上げが停止された影響で、第1四半期は前期比31.8%増加した。また、87類の輸入額上位10品目(第1四半期)のうち、適用除外品目が9品目を占めた(添付資料参照)。

添付資料表中の輸入額上位10品目の中国の対世界輸入は83億2,200万ドルに上るが、うち米国からの輸入は24億2,700万ドルと29.2%を占め、日本からの21億2,400万ドル(25.5%)を上回り、中国にとって最大の輸入相手国となっている。米国原産の完成車と自動車部品は、中国国内市場で代替が利かず、重要な位置付けにあることがうかがえる。

完成車と自動車部品の適用除外措置は、もともと1月1日~3月31日までの暫定措置だった。3月5日に米国通商代表部(USTR)が中国からの輸入品2,000億ドル相当に対する追加関税率の25%への引き上げ期限を延長し10%に留め置いたことで、4月1日以降も適用除外措置を継続している(注)。

米国にとって中国は重要な販売市場であることから、211品目の適用除外措置の継続は、中国にとっても米国との重要な交渉材料となっている可能性もある。今後、中国による完成車と自動車部品の適用除外措置がどうなるか、注意深く見守る必要がある。

(注)その後、米国は2,000億ドルに対する追加関税措置(10%から25%への引き上げ)を5月10日から開始。

(水谷俊博)

(中国、米国)

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