鄭州市で自動運転ミニバスの試験運行始まる

(中国)

武漢発

2019年06月20日

河南省鄭州市で5月17日、「智慧島5Gスマートバスプロジェクト」が始まった。同プロジェクトでは、同市鄭東新区の智慧島にある環状道路1.53キロで、4台の自動運転ミニバスの試験運行を行う。この試験エリアには第5世代移動通信システム(5G)のネットワークが整備されており、車両、道路、インターネットなどを一体化させたスマート交通システムの実用化を目指す。

中国青年報(5月23日)によれば、中国バスメーカー大手の宇通客車(本部:河南省鄭州市)が開発した電気自動車(EV)のミニバスはレベル4(注)での走行が可能だ。車内には12座席あり、1回の充電で200キロ走行できる。5Gネットワークは1,000分の1秒という人間の目の100倍のスピードで反応することができ、信号や歩行者、障害物などを迅速かつ正確に識別し、障害物の回避や追い越し、バス停への停車などを行うことができるという。

中国中部エリアでは自動運転バスの導入が進む

河南省鄭州市のほかに、湖北省武漢市で自動運転バスが導入され、2018年11月から、武漢経済開発区内で中国初となる自動運転ミニバスの営業運転が始まった。このミニバスは中国インターネット大手の百度(バイドゥ)と中国バスメーカーの厦門金龍が研究開発を行ったEVバスだ。レベル4で走行し、同開発区内の5キロ区間を時速15キロで運行している。

また、湖南省長沙市でも、2019年から百度による無人タクシーの試運転が一部区間で開始される予定だ。そのほか、同市では2018年4月にスマートネットワーク自動車の走行実験に係る規則を制定し、同年10月から湖南湘工新区の公道7.8キロ区間を自動運転車などの試験エリアに設定している。現在、同エリアでは乗用車、清掃車、トラックなどの自動運転試験が行われている。

このように、中国中部エリアでは地場系自動車メーカーやインターネット企業を中心に自動運転車や、それを踏まえたスマート交通システムの開発が活発に進められている。今後はこうした分野でも、外資系企業との協業が拡大していくことが期待される。

(注)特定の条件下で完全な自動運転となり、システムが主体となって運転を行う、上から2番目の技術レベル。

(片小田廣大)

(中国)

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