日EU・EPA発効から3カ月間の対日輸入額は前年同期比1割増

(EU、日本)

欧州ロシアCIS課

2019年06月21日

EU統計局(ユーロスタット)は6月18日、2019年4月の貿易統計を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、1月から4月までのEUからみた対日輸入額は前年同期比で約7%伸びた。さらに、日EU経済連携協定(EPA)が発効した2月から4月までの3カ月間で比較すると、前年同期比で約10%の伸びを示しており、同EPA発効後に、日本からの輸入が加速していることが読み取れる。

日本からの主要輸入品目のうち、EPA発効後の日本からの輸入(2~4月)が前年同期比で10%以上伸びた品目は表1のとおりだ。日本からの輸入額全体の14.1%を占める乗用自動車については、前年同期比で20%強の伸びを示した。2月1日から日EU・EPAの特恵関税を適用すれば、関税が10%から8.8%に引き下がっている。全ての品目の輸入増の理由がEPAによる関税削減・撤廃とは特定できないものの、実行最恵国(MFN)税率5%を超える品目が含まれるバイク(29.8%増)、ガソリンエンジン(28.0%増)、チタン(40.3%増)や化学品などは、いずれも前年同期比で輸入が大きく伸びており、EPAによる関税削減効果が輸入拡大に寄与している可能性がある。

表1 日EU・EPA発効後に輸入が前年同期比10%以上伸びた主要輸入品目

輸入上位品目以外でも、日EU・EPAの関税撤廃効果が大きい品目に注目してみると、例えば車体(MFN税率:4.5%→3.9%)、ファスナー(6.7~7.7%→即時撤廃)、フォークリフトトラック(4.0~4.5%→0~3.4%)などが、いずれも前年同期比5割を超える大幅な伸びをみせている。特に、車体とフォークリフトトラックは前年同期比で約2倍に伸びている。

衣料品や、その他のアパレル製品についても日本からの輸入の伸びが順調だ。6.5~12%の高関税が課されている衣類完成品については、全体で前年同期比2割超の伸びを示した。その他のアパレル製品でも、革製の衣類・衣類付属品(4~9%→即時撤廃)、スニーカーなどの履物(16.9~17%→即時~11年目撤廃)は4~5割増と大きな伸びがみられた。

工業製品に比べてボリュームは少ないが、農水産品・食品の伸びも順調だ。

EUの主力対日輸入品のEPA発効後3カ月の伸びをみると、ソース混合調味料(前年同期比17.3%増)、しょうゆ(32.3%増)、緑茶(10.8%増)など、多くの品目で輸入が前年同期比10%増を上回った。特に、牛肉は7割近い増加で、麺類は4割増、水産品では魚のフィレが5割増となった。特にマグロ、カツオのフィレは2.5倍以上、ブリのフィレも約2倍に伸びている。ワインについては、2月、3月と前年同月比60%を超える伸びをみせたが、3カ月間の合計ではマイナスとなっている。

表2 農水産品、食品の主要輸入品の伸び

(根津奈緒美)

(EU、日本)

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