宝武鋼鉄と馬鋼集団が経営統合

(中国)

上海発

2019年06月12日

中国鉄鋼最大手で世界2位の中国宝武鋼鉄集団(以下、宝武鋼鉄)が6月2日、国内9位の馬鋼(集団)と経営統合を進めることが明らかになった。両社はいずれも国有企業で、宝武鋼鉄が馬鋼(集団)の親会社である安徽省政府から51%の株式を無償で取得する。

上海市を本拠地とする宝武鋼鉄は2016年12月、宝鋼集団と武漢鋼鉄の合併により設立され、中国で最も競争力の高い鉄鋼グループだ。2018年の売上高は4,386億元(約7兆176億円、1元=約16円)、利益総額は338億4,000万元で、フォーチュン世界企業番付で162位にランクインされた。一方、馬鋼(集団)は安徽省馬鞍山市に本部を置き、2018年の売上高は918億元、利益総額は89億4,500万元だった。

中国鋼鉄工業協会の発表によると、宝武鋼鉄の2018年の粗鋼生産量は6,743万トンで(表参照)で、馬鋼(集団)の1,964万トンと単純合算すると8,707万トンに達し、世界首位であるアルセロール・ミタルの9,250万トンに迫る規模となる。

表 中国主要鉄鋼メーカーの粗鋼生産量

業界再編が今後も続く見通し

中国では、鉄鋼の過剰生産能力の解消に向けて、国有企業を中心に業界再編が進められている。国務院が2016年9月に出した指導意見では、2025年までに粗鋼の年間生産能力8,000万トン以上の企業グループを2~3社、4,000万トン以上の企業グループを6~8社とし、鉄鋼生産上位10社の生産量を全体の6~7割にする目標が設けられている。

宝武鋼鉄集団が公表した経営計画(2016~2021年)では、粗鋼生産能力を2021年までに8,000万~1億トンに引き上げ、国際競争力のある鉄鋼メーカーを目指すとしている。目標達成に向け、同社は今後も国内同業他社との統合を続けていくことが予想される。

(劉元森)

(中国)

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