中央銀行の首都移転、国際金融センターとの連携に期待

(カザフスタン)

タシケント発

2019年06月07日

カザフスタンのエルボラット・ドサエフ国立銀行(中央銀行に相当)総裁は5月22日の下院本会議で、国立銀行をアルマトイ市から首都ヌルスルタン(旧アスタナ)市に移転させることを発表した。時期については明言していないが、移転先の準備が整い次第、速やかに移転する。また、2011年に廃止され国立銀行内に移管された「金融市場規制開発機構」を金融部門の規制と発展を所管する組織としてアルマトイに新設する方向で財務省と調整しており、2020年1月1日の業務開始を目指す。(「テングリニュース」5月22日)

国立銀行の首都移転は2015年5月の大統領令により決定されていた。当初は、アスタナ国際金融センター(AIFC)の設立と国立銀行移転を2017年までに完了し、AIFCを2020年までにアジアの10番以内、世界の30番以内に入る金融センターに発展させる目標を掲げていた。AIFC関係者は、カザフスタンの株式市場における個人投資家の割合は1%未満で、他国に比べ非常に少ないが、国立銀行のヌルスルタン移転により、AIFCと緊密に連携することで株式取引を活性化させることができると期待を寄せている。

一方、国立銀行がヌルスルタンへ移転すれば、政治色が強くなり独立性が維持できなくなるとの懸念もある。これに関連してドサエフ総裁は、国立銀行の独立性を保つため、AIFCが所有する旧アスタナ万博敷地内に移転する予定はないと語っている。

経済・金融の中心都市アルマトイで長年シンボリックな存在だった国立銀行がヌルスルタンに移転することで、ヌルスルタンは政治のみならず、経済・金融の中心都市としての存在感も増すことになる。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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