米中貿易摩擦の影響で台湾回帰投資が増加

(台湾、中国、米国)

中国北アジア課

2019年06月26日

米中貿易摩擦の影響を受けた台湾企業の回帰投資が増加している。

台湾当局は1月から、中国進出台湾企業の台湾回帰投資支援策を実施している(2019年4月19日記事参照)。支援期間は2021年末までの3年間で、条件を満たした回帰投資案件は、申請・認可手続きにより、台湾の事業で必要とする土地や水、電力の供給、労働力確保面で各種支援や優遇措置などが享受できる。

回帰投資の申請・相談窓口である投資台湾事務所(InvesTAIWAN)によると、1月から6月13日までに台湾回帰の支援対象として認可された投資案件は合計73社で、投資予定額は3,750億台湾元(約1兆3,125億円、1台湾元=約3.5円)となっている。今後、これらの回帰投資案件が実行されることにより、域内で3万4,100人の雇用創出(外国籍労働者を除く)が見込まれるという。

これまでに台湾回帰の支援対象として認可された企業は、電子機器受託製造サービス(EMS)の広達電脳(Quanta)をはじめ、自転車ブランド「GIANT」といった巨大機械工業、工作機械の台中精機など、台湾の大手企業も含まれている。

認可案件の主な事業内容を見ると、サーバー、ネットワーク機器、自動車部品、自転車、航空機部品など多岐にわたり、サプライチェーンの一翼を担う関連企業による回帰の様子がうかがえる。

台湾の行政院(内閣に相当)は当初、台湾回帰による2019年の投資目標額(想定)を2,500億台湾元と設定していたが、支援策開始から約4カ月でその目標を達成したため、5月に目標を倍増して5,000億台湾元に設定した。経済部では当面、新たに50社程度が支援申請の意向ありと見込んでいるという。

(加藤康二)

(台湾、中国、米国)

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