G20の貿易・デジタル経済相合同会合がつくば市で開催

(世界)

国際経済課

2019年06月10日

G20の貿易・デジタル経済相会合が6月8、9日、茨城県つくば市で開かれた。G20として初めて貿易相会合とデジタル経済相会合を合同で開催した。

会合の成果として採択された閣僚声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、「デジタル経済」「貿易」「貿易とデジタル経済との間のインターフェイス」「大阪サミットに向けて」という首脳への推奨を含む4項目からなる。「信頼を構築し、データの自由な流通を促進するためには、国内的および国際的な法的枠組みの双方が尊重されることが必要である」とし、安倍晋三首相が1月のダボス会議で提唱した「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT:データフリーフローウィズトラスト)」が盛り込まれた。

WTOでは現在、日本のほか、米国、中国、EUなどの有志国・地域により、電子商取引のルールに関する議論が進められている。こうした中、声明では、「(WTOにおける)電子商取引に関する共同声明イニシアチブに基づき進行中の議論に留意する」と記載され、「貿易およびデジタル経済の分野におけるG20の協力を深める観点から、首脳に対し、大阪サミットにおいてこれらの重要な項目を検討することを共に推奨する」と締めくくった。6月28、29日に大阪で開催予定のG20首脳会議で、電子商取引ルール作りなどの面でさらなる政治的な後押しがなされる見込みだ。

福岡市では財務相・中央銀行総裁会議が開催

福岡市では同じ日程で、財務相・中央銀行総裁会議が開催され、国際課税ルールの見直しについて、2020年の最終合意に向けた作業計画(注1)が承認された。経済の電子化に伴う課税上の課題に対し、2つの柱(注2)を含む長期的解決策の検討と、解決策による税収や経済的影響についての経済分析・影響度評価が行われていく。6月にOECD・租税委員会の作業部会で技術的論点の検討が開始され、2020年1月に解決策の制度の概要について合意される予定だ。

(注1)税源浸食と利益移転(BEPS)包摂的枠組みで承認された「経済の電子化に伴う課税上の課題に対するコンセンサスに基づいた解決策の策定に向けた作業計画」。

(注2)次の2つが柱となっている。

  1. 課税権決定や課税対象所得の算定および配分ルールの改定
  2. 一定水準以下の実効税率を課している無税または低税率国に所在する支店・子会社に対する所得合算ルールと、これらの国に所在する関連者への税源浸食的支払いに損金算入を否認するルールの2つを導入

(朝倉啓介)

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