ブエノスアイレス市、使い捨てプラスチック製ストローの使用禁止を決定

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年06月06日

アルゼンチンのブエノスアイレス市は5月22日、使い捨てプラスチック製ストローの使用・配布・販売を禁止する環境公共スペース省決議816/2019号を施行した。本決議は、同市の都市固形廃棄物総合管理法(Ley de Gestión Integral de Residuos Sólidos Urbanos)の一環として公布され、廃棄物による環境への影響を減らすことを目的に、プラスチック製ストローの使用を段階的に制限するとしている。

決議では、施行日から飲食店などで顧客に対する提供や店舗での配置を禁止し、施行日の6カ月後に使用・配布・販売を禁止するとしている。対象となるのは、食品販売店、飲食店、小売店、クラブ、4つ星および5つ星ホテル、ショッピングモール・商業施設・屋外市場、300人以上規模のイベント会場ならびにチェーン店(直営店、フランチャイズであるかを問わず、同じブランドで5店舗以上を有する場合)となっている。

ブエノスアイレス市の発表によれば、同市内におけるショッピングセンターのフードコートだけで、毎月約200万本(1.7トン相当)のプラスチック製ストローが消費されている。また、小さく軽量なことから廃棄物管理の隙間から容易にすり抜けてしまうこと、特に沿岸地域では海に入り込んだストローが徐々に断片化し、海洋生物への影響を及ぼすこと、などが指摘されている。なお、プラスチック製ストローの禁止は、既にブエノスアイレス州のピナマール市、ビージャ・ヘセル市、マル・デル・プラタ市およびマル・チキータ市といった大西洋沿岸都市で実施されている。

プラスチック業界からは禁止に批判的な声も

今回の決定に対し、プラスチックと環境問題を専門とする技術団体エコプラス役員のベロニカ・ラモス氏は「持続可能な解決策ではない」と指摘する。ストローはリサイクル可能な循環経済の資源で、消費者に対して、リサイクル可能な他製品と同様に、分別するよう意識させる必要があるとしている。また、同団体の技術マネジャーであるマリオ・トネリ氏は、プラスチック製ストローは衛生面の観点から、さまざまな店舗で広く使われており、消費者の健康維持において重要な役割を果たしている、と指摘している(「エル・クロニスタ」紙5月22日)。

(高橋栞里)

(アルゼンチン)

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