乳製品業界団体が買い取り制度導入に反対、MH州プラスチック規制

(インド)

ムンバイ発

2019年06月12日

インド西部マハーラーシュトラ(MH)州の環境相は5月28日、2018年6月に施行されたプラスチック規制(2018年7月27日記事参照)の一部に対する適用までの猶予期間を、再度延長すると発表した。猶予の対象となる規定は、プラスチックのパウチバッグで牛乳を販売する事業者らに対し、使用済みパウチの買い取り(buy back)システムを導入させ、回収・リサイクルシステムを構築させるものだ。当該規定の適用は、過去に2度の猶予期間が設けられており、これで3度目。今回は発表日から15日間の猶予が与えられると発表された。この州政府の規制に対し、州内の業界団体は「実現不可能」として反対を表明している。

MH州のプラスチック規制では、牛乳のパウチには、50ミクロン以上の素材を使用し、買い取り価格を記載し、事業者が回収・リサイクルシステムを導入することが規定されている。

今回の州政府の対応に対して、MH州の製乳業界団体は、拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility:EPR)を求める本通達の規定は実現可能性がなく、製造・販売の実情にそぐわないものだとして、一致団結して反対することを表明した(「ファイナンシャル・エクスプレス」紙6月5日)。インドの製乳最大手アムールのR.S.ソディ取締役は、環境保護を目指す法の趣旨には賛同する一方、新システムの導入は非現実的として、「現状で既にほぼ100%の使用済みパウチが廃品回収事業者らによって回収・リサイクルされている」ことを指摘し、「(新制度の導入でなく)既存の回収・リサイクルシステムの強化で対応する」と述べた(「タイムズ・オブ・インディア」紙5月30日)。

写真 プラスチック製パウチバッグで販売されている牛乳(ジェトロ撮影)

プラスチック製パウチバッグで販売されている牛乳(ジェトロ撮影)

一方、同規制により、部分的にではあるが、ペットボトルの買い取りシステムが運用されている。現在MH州内で販売されているほぼ全てのペットボトルに買い取り価格が記載され、回収場所が設定されている。

写真 1キログラム当たり15ルピー(約24円、1ルピー=約1.6円)の買い取り価格が記載されたペットボトル(ジェトロ撮影)

1キログラム当たり15ルピー(約24円、1ルピー=約1.6円)の買い取り価格が記載されたペットボトル(ジェトロ撮影)

なお、4~5月にかけて行われたインド下院総選挙の影響で、各自治体が選挙業務に忙殺され、プラスチック規制の違反者への対応に手が回らなかった、とMH州汚染防止委員会(MPCB)の職員は述べており(「インディア・エクスプレス」紙6月5日)、今後は対応の徹底も予想される。

(比佐建二郎)

(インド)

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