ケニアで新紙幣を発行、最高額の旧紙幣は10月1日以降は使用不可に

(ケニア)

ナイロビ発

2019年06月27日

ケニア中央銀行(CBK)は6月1日、汚職、マネーロンダリング、偽造紙幣などの撲滅を目的に、新紙幣発行を開始した。1,000ケニア・シリング(約1,100円、Ksh、1Ksh=約1.1円)、500Ksh、200Ksh、100Ksh、50Ksh紙幣を刷新する。CBKは2018年12月にも、新貨幣(硬貨)の20Ksh、10Ksh、5Ksh、1Kshを発行している。最高額の旧1,000Ksh紙幣は10月1日以降、ケニア国内外で使用できなくなる。CBKのパトリック・ンジョロゲ総裁は6月3日の会見で、旧1,000Kshは10月1日までにケニア国内で新紙幣と交換する必要があると説明した。

CBKの6日のプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によれば、100万Ksh以下の紙幣の両替は市中銀行、CBK各支店、両替所で可能だが、金額などにより一定の制限が設けられるケースがある。ケニア市中銀行の口座保有者以外が100万Kshを超えて両替する場合、CBKからの承認が必要となる。口座保有者が100万Ksh以上500万Ksh以下を両替する場合は、取引先支店で通常どおりの手続きで両替が可能。500万Kshを超える場合、CBKからの承認が必要で、所定のCBK窓口に連絡する必要がある。

新紙幣と新貨幣はデザインが一新され、紙幣にはケニアを代表する建築物やスポーツ選手、貨幣には動物が使用されている。新紙幣はサイズも変更され、旧紙幣より一回り小さい。造幣を受託したのは英国のデラル(De Ra Lue)で、過去にはイングランド銀行、イラク銀行、グアテマラ銀行、スリランカ銀行などの紙幣も造幣した。同社は、ケニア紙幣を25年以上にわたり製造してきた。

新紙幣5種類合計で5億4,000万枚、2,618億2,300万Ksh分が発行され、1,000Ksh紙幣は2億1,760万枚が発行される。ナイロビ市内ではモバイルマネーが浸透しており、大きな混乱はみられず、今回の新紙幣導入がさらなるキャッシュレス化を後押しすることも予想される。一方、ショッピングモールなどに設置されている駐車料金の精算機や金融機関の現金自動預け払い機(ATM)は今後、入れ替えや更新を迫られるとみられる。

(久保唯香)

(ケニア)

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