中国の米国輸入動向、データでみる米中貿易摩擦

(中国、米国)

中国北アジア課

2019年06月05日

米中両国による貿易摩擦が再び激化している。中国は2018年7月6日に545品目に対し25%の関税率引き上げを実施したが、その後、第2弾(2018年8月23日実施)、第3弾(2018年9月24日実施、2019年6月1日追加引き上げ実施)と、米国への対抗措置を強めている(添付資料の表1参照)。

ジェトロは、第1~第3弾の中国側の追加関税措置が2018年の米国からの輸入にどう影響を与えたかを、あらためて添付資料の表2のとおりまとめた。前年比で輸入が大きく減少したものには、追加関税措置の影響を受けた品目が多数含まれる。上位20品目のうち、2桁の減少幅を記録したのは、大豆(HSコード:12019010)49.3%減、乗用車(HSコード:87032342)24.9%減、古紙(HSコード:47071000)23.2%減、乗用車(HSコード:87038000)21.7%減の4品目だった(第1弾:3品目、第2弾:1品目)。

中国にとって産業政策上重要な品目は追加関税の対象外となっているが、これらの品目は逆に大幅に増加しているものもあった。具体的には、飛行機その他の航空機(HSコード:88024010)9.6%増、ハイブリッド集積回路(HSコード:85423190)20.4%増などだ。

GTAによると、2018年通年の米国からの輸入額は前年比3.5%増となった。うち、上半期(2018年1~6月)が前年同期比14.4%増だったのに対し、下半期(2018年7~12月)は8.4%減だった。2018年7月から9月にかけて、第1~第3弾の追加関税措置が一斉に発動されたことが大きく影響した。一方、2019年第1四半期(2019年1~3月)の動向では、前年同期比29.3%減と大幅に減少している。6月1日からはさらに第3弾(600億ドル)に対して追加関税率(5~25%)が適用されるため、2019年の米国からの輸入については動向を注視していく必要がある。

(水谷俊博)

(中国、米国)

ビジネス短信 2f71e9747269e34b