ビスカラ大統領、現政権で2度目の信任決議案を国会に提出

(ペルー)

リマ発

2019年06月06日

ペルーのマルティン・ビスカラ大統領は5月30日のテレビ放送を通じ、2018年9月に続き現政権下で2回目となる内閣の信任決議案の提出を発表した。6月4日の国会でサルバドル・デル・ソラール首相が信任決議案の説明演説を行った後に投票が行われる予定。野党にとっては、決議案を承認すれば国会での政治司法改革案の審議を進めることになり、否認した場合は議会解散により議席を失うリスクを負うという選択を迫られている。政治司法改革案は、2018年秋にビスカラ政権が提出したもので、同年末の国民投票で承認されたのにもかかわらず、その後の国会審議が遅延し留保されている。ビスカラ大統領は審議を進めるため、デル・ソラール内閣の組閣を決めた。

一方で、同年の麻薬組織に対する捜査であぶり出された最高裁判所や国家検察当局の関係者の汚職ネットワークに関わったとされる元国家最高検察庁のペドロ・チャバリー氏の起訴と、同氏への10年間の役職罷免の国会常任委員会審議に当たり、一部の野党議員が反対票を投じて同氏を擁護したことに対し、ビスカラ大統領がいら立ったとみている世論も少なくない。

ビスカラ大統領はテレビ演説の中で、汚職や腐敗に手を染めた者を擁護する一部の国会議員らを非難し、自身の改革案を推し進めるため今一度国民の支持を求めた。具体的には、(1)国会議員の非逮捕特権の制限、(2)前科者による選挙立候補の禁止、(3)各政党の党内選挙への自由参加の推進、(4)選挙における優先投票(注)の廃止と男女平等参加の保障、(5)選挙キャンペーンにおける汚職献金の禁止、などを掲げている。

(注)投票用紙には、政党のほか、同政党の候補を2人まで優先的に指名できるチェック欄があり、これらの廃止を目的としている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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