厚い若年層と高いスマホ普及率、電子商取引市場拡大を後押しか

(サウジアラビア)

リヤド発

2019年05月14日

サウジアラビア情報通信技術委員会の発表によると、2016年の年間の電子商取引市場規模は297億リヤル(約8,613億円、1リヤル=約29円)で、サウジアラビア人1人当たりの年間取引額は平均4,000リヤル換算となった。当地の複数紙が2019年3月に報じたところによると、2018年の市場規模は330億リヤルに増加し、今後5年間でさらに倍増する見込みだ。

サウジアラビア総合統計庁(GASTAT)が発表した統計によると、電子商取引で最も多く購入されている品目(複数回答可)としては、「洋服・靴などの衣料品」の割合が最多で81.1%を占めており、「化粧品など美容関連商品」(28.44%)、「家具を含む家庭用品(除く電化製品)」(18.93%)と続く。

年代別にみると、「洋服・靴などの衣料品」の購入世代はハイティーンから20代で80%と最も高く、「化粧品など美容関連商品」は20代から40代が30%程度で主要な購入層となっている。「家具を含む家庭用品(除く電化製品)」および「航空券・ホテルなど旅行経費・交通費など」では、主な支払い者であると想定される30代から60代までが主要な層となっている。

他方で、電子商取引を利用しない理由については、「関心がない」(60.74%)、「直接店舗で購入したいから」(36.53%)、「電子商取引の知識またはスキルがない」(22.65%)と続き、「セキュリティーへの懸念」(1.985%)や「プライバシーへの懸念」(0.85%)を大きく上回っている。

サウジアラビアではそもそも国土が広大な上、夏季の酷暑や公共交通網の未発達さなど、電子商取引が根付きやすい環境にあるといえるが、それに加え、40歳以下が人口の75%を占める厚い若年層や、2018年第2四半期時点での携帯電話(スマートフォンを含む)加入率が132%と高いことなど、個人がネットワークへアクセスする環境が整っていることも、市場の拡大を後押しする条件となり得る。電子商取引の知識またはスキルがないと回答した層も一定程度みられることから、ITリテラシーなどの向上によって、市場がさらに大きく拡大する素地が残されている。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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