米連邦通信委員会、中国移動の米国市場参入を却下

(米国、中国)

米州課

2019年05月10日

米国連邦通信委員会(FCC)は5月9日に公開委員会を開催し、中国国有通信最大手の中国移動(チャイナモバイル)の米国市場参入申請を却下する決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。5人の委員が採決を行い、全会一致で却下に賛成した。チャイナモバイルは2011年9月に、米国外の通信設備を利用した米国と外国との国際電話サービス提供の申請を行っていたが、商務省国家電気通信情報庁(NTIA)は2018年7月、安全保障上や法執行リスクの観点から同申請を却下するよう勧告していた(2019年4月19日記事参照)。FCCは申請拒否の理由として、チャイナモバイルUSAは中国政府が所有・支配しており、申請を認可すれば、国家安全保障や法執行に相当かつ深刻なリスクをもたらす恐れがあるとしている。

委員会終了後に各委員は声明を発表しており、アジト・パイ委員長は、もし認可すれば、中国政府はチャイナモバイルを利用して、米国政府機関などに対する情報収集を強化することになるとして、「全く容認できないリスクだ」と述べた。また、ブレンダン・カー委員は、中国政府が所有している中国電信(チャイナテレコム)や中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)について、連邦通信法第214条に基づく認可の見直しを含む、追加的措置の必要性を指摘した。他方、マイケル・オライエリー委員は、チャイナモバイルの申請から今回の却下決定まで8年近くもかかっており、「決定の透明性や適時性を改善する必要がある」と指摘した。

(中溝丘)

(米国、中国)

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