チェンナイ国際空港で進む新ターミナル整備

(インド)

チェンナイ発

2019年05月23日

南インドの玄関口、チェンナイ国際空港で新ターミナル(Integrated Terminal)の建設が進んでいる。現在、インド政府傘下のインド空港局(Airports Authority of India:AAI)は2021年初頭の完工を目指している(「タイムズ・オブ・インディア」紙5月12日)。同ターミナル建設は、AAIが所管する「チェンナイ空港近代化プロジェクト・フェーズ2」の一環で、新ターミナルは現在の国際線ターミナルと国内線ターミナルの中間に建設される。

総工費246億7,000万ルピー(約394億7,200万円、1ルピー=約1.6円)に及ぶ同プロジェクトでは、新ターミナル内にチェックインカウンター140カ所や、入国審査カウンター108カ所などが備えられる計画。チェンナイ国際空港外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、現在の旅客処理能力は年間2,300万人で、新ターミナル完成により700万人増を見込む。また、同プロジェクトでは、新ターミナルに加えて、空港およびチェンナイ・メトロ直結の立体駐車場やショッピングモール、ホテルも建設される予定だ(「ザ・ヒンドゥー」紙3月13日)。

AAIが新ターミナルの建設を急ぐ背景には、チェンナイ国際空港における旅客数および発着便数の増加がある。AAIの発表によれば、2018年度の同空港の旅客数は前年度比10.7%増の約2,254万人、発着便数は14.8%増の約17万8,000便となった(表参照)。

表 チェンナイ国際空港における旅客数および発着便数の推移

旅客数および発着便数の増加により、同空港ではチェックイン・出国審査における所要時間の増加やフライトスケジュールの乱れなどが発生しており、処理能力の拡大が急務となっている。タミル・ナドゥ州では、2012年から州政府主導でチェンナイ郊外における年間処理能力4,000万人規模の第2空港建設計画を進めているものの、候補地の選定が難航しており、これもAAIが新ターミナルの開発を急ぐ一因となっている。

写真 混み合う保安検査場前の様子(ジェトロ撮影)

混み合う保安検査場前の様子(ジェトロ撮影)

AAIは、新ターミナルの建設工事に加えて、チェンナイ国際空港におけるサテライトターミナルの建設計画も同時に進めており、現在、実現可能性調査の委託先を公募している(「タイムズ・オブ・インディア」紙5月10日)。増え続ける需要に対応するため、先を見据えた航空インフラの整備が求められている。

(榎堀秀耶)

(インド)

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