ムルマンスク港沖のLNG積み替え基地計画承認、仏トタルは資本参加の意向

(ロシア、フランス)

欧州ロシアCIS課

2019年05月15日

ロシア政府とロシアの民間天然ガス採掘大手ノワテクは、ロシア北西部・北極圏のムルマンスク港での液化天然ガス(LNG)の積み替え基地(施設)の建設を行う。ロシア政府は4月25日付で同事業に関する建設計画を承認し、同29日に政府ウェブサイトに公表した。

公表されたのは、政府指示第834号-r「ムルマンスク州での海洋LNG積み替え複合施設建設の投資計画について」で、ノワテクが計画するLNG積み替え基地建設事業を承認すると同時に、運輸省を関係省庁との調整を行う主幹省庁に指名。その他関連する連邦・地方政府機関に対して工期短縮などへ協力や、税制優遇などの支援策の検討などを促している。

事業計画には、ムルマンスク港沖でのLNG保管用の海上タンク2基、岸壁施設、関連港湾インフラの建設が含まれる。総事業費は700億ルーブル(約1,190億円、1ルーブル=約1.7円)で、供用開始は2023年の予定。事業計画に並行して、LNG積み替え基地を利用したムルマンスク州域内の天然ガス供給網の構築も検討される。事業計画の大枠としては、2019年に技術的仕様の確認・決定、政府との調整・許認可の取得などのドキュメンテーションが集中的に行われ、2020~2023年で建設作業、2022~2023年で供用開始に向けた許認可の取得などが行われる予定。

ムルマンスク港でのLNG積み替え基地建設については、2018年12月にノワテクのレオニド・ミヘリソン会長が連邦政府に対し、実現に向けた支援を急ぐよう要請していた(2018年12月12日記事参照)。また、北極圏でノワテクが主導し運営・開発するLNG事業「ヤマルLNG」「アルクティクLNG2」に資本参加しているフランス・エネルギー大手トタルのパトリック・プヤンヌ最高経営責任者(CEO)は4月18日、ムルマンスク港沖とロシア極東カムチャツカ地方(2019年3月27日記事参照)で建設が予定されている2つのLNG積み替え基地について、それぞれ10%の資本参加を行う意向を表明している。

(高橋淳)

(ロシア、フランス)

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