広東省の1~3月GRPは6.6%成長、貿易額は減少

(中国)

広州発

2019年05月20日

広東省統計局の4月21日の発表によると、2019年第1四半期の広東省の域内総生産額(GRP)の成長率は6.6%、総額は2兆3,886億7,700万元(約38兆2,188億3,200万円、1元=約16円)だった(図参照)。成長率は前年同期より0.4ポイント低下したものの、全国平均を0.2ポイント上回った。

産業別の成長率は第一次産業が3.5%、第二次産業が6.0%、第三次産業が7.2%だった(表参照)。

図 広東省のGRP成長率〔前年(同期)比〕
表 広東省の2019年1~3月の主要経済指標

貿易の質は向上との見方も

項目別では、固定資産投資額は前年同期比11.2%増(伸び率は前年同期より0.1ポイント減少)となった。うち、不動産開発投資は12.8%増(10.1ポイント減少)と大きく減速した。インフラ投資は28.3%増(17.2ポイント上昇)と大幅に増加し、全体の伸び率を6.3ポイント引き上げた。

社会消費品小売総額は前年同期比6.9%増(3.0ポイント減少)の1兆178億9,600万元だった。商品小売額が6.7%増、飲食業収入が8.8%増だった。一定規模以上(注)の小売企業についてみると、自動車関連は7.7%減となったものの、1~2月と比べ減少幅は1.4ポイント縮小した。また通信機材は、スマートフォンの新商品発売などもあり25.9%増と高い伸びを示した。

貿易額は前年同期比1.0%減(9.2ポイント減少)の1兆5,481億4,000万元となった。うち、輸出が1.8%増(0.7ポイント減少)の9,260億2,000万元、輸入が4.8%減(22.1ポイント減少)の6,221億2,000万元だった。税関統計によれば、合計で広東省の輸出の約5割を占める広州市、深セン市の1~2月の米国向け貿易額は、いずれも前年同期比減となっている。

しかし、一般貿易の伸びは4.5%増と、加工貿易を11.5ポイント上回り前年同期比で増加していることや、輸出ではICが84.8%増、自動車が13.7%増となったことを受けて、「貿易の質はレベルアップしている」との見方もある(「南方網」5月6日)。

回復傾向だが不安定さが残る

一定規模以上の工業企業の付加価値増加額は6.5%増(0.2ポイント減少)の7,348億4,800万元だった。業種別では、5G関連産業の発展もあり、全体の4分の1を占める電子産業が9.1%増加し全体を2.4ポイント引き上げた。また、電気機械・器具製造業が8.4%増と全体を0.8ポイント引き上げた。

広東省統計局の楊新洪局長は、2019年1~3月の経済状況について「全体的に安定しており、予想を上回った」とした。また、インターネット関連産業の発展や、就業者が中・高付加価値産業に移動しつつある点などが安定に寄与しているとした。

一方で、広東省経済学会の陳鴻宇常務副会長は「成長率そのものよりも、カギとなるのはデータが広東省の発展の質や経済構造、産業のレベルアップを反映しているかどうかだ。固定資産投資や消費は(1~2月からは)回復傾向だが、依然として不安定だ」(「21世紀経済報」4月23日)とした。

(注)主要業務収入が2,000万元以上の卸売業、500万元以上の小売業の法人、主要業務収入が2,000万元以上の工業企業法人など。

(河野円洋)

(中国)

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