カナダと米国で食品安全規則に相違

(カナダ)

トロント発

2019年05月27日

フード・テクノロジー・コンサルティングのイバーナ・ロスティック氏によると、カナダと米国は食品安全規格相互承認協定(Food Safety Systems Recognition Arrangement外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を締結しているが、日本からの食品輸出は、既に米国へ輸出している企業でも、そのままの状態で米国からカナダへ輸出できるわけではないという。両国の食品安規格要件を比較すると、実際にはカナダの方が厳しいと指摘する。

(問)カナダと米国における食品安全規則の違いは。

(答)カナダと米国は食品安全規格相互承認協定を結んでいるものの、カナダ食品安全規則(Safe Food for Canadians Regulation:SFCR)は、カナダの食品生産業者が米国やEUへの食品輸出を可能にすることを念頭にしたもので、実際にはSFCRの方が米国の食品安全強化法(FSMA)よりも厳しい。双方とも施設での食品安全を目的として制度が設定されているものの、様式は異なっている。具体例を挙げると、SFCRの下では、予防保全(Preventive Maintenance)において、機械の予防管理計画を書面で準備しておくことが求められているが、FSMAでは検査官の検査時に口頭で確認が求められるだけで、書面保管までは要求されていない。さらに、SFCRでは、ラベル表示など消費者保護に関する要件を満たす措置が設けられているかを確認する書面の準備が必要で、この点もFSMAとは異なる。

(問)日本からの輸出に際して気をつけることがあるとすれば何か。

(答)米国に輸出を行っている企業でも、FSMAとSFCRは「食品を安全に生産する」という目的は同じながら要件が異なっていることを理解した方がよい。食品安全計画の作成者は、2つのプログラムで同じ様式が使用可能な部分もあれば、個別に書類等を用意する必要がある部分もあることを認識すべきだろう。

(飯田洋子)

(カナダ)

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