ゼマン大統領が対中国積極外交を展開、ファーウェイ創設者とも会談

(チェコ)

プラハ発

2019年05月08日

チェコのミロシュ・ゼマン大統領は4月25日から28日まで、北京で開催された第2回「国際協力一帯一路フォーラム」に参加した。今回で、同大統領の公式な中国訪問は5度目となる。同大統領はフォーラムの演説で、一帯一路への支持を再び表明する一方、米中貿易摩擦争や英国のEU離脱(ブレグジット)などに対するリスクアセスメントの必要性も指摘した。

さらに同大統領は、ファーウェイ創設者の任正非氏と会談し、同社に対する国際的批判は何ら根拠がないと強調した。その際に大統領は、同社が5Gネットワーク確立など、チェコのデジタル化に参与することを望むと表明した。チェコでは2018年12月に国家サイバー・情報安全局が、ファーウェイおよび中興通訊(ZTE)のソフトウエアとハードウエアは安全を脅かす可能性があるとして、その使用に関する公式警告を発布した。これをめぐり大統領は、同局が警告の根拠を明らかにしていないと批判しており、両者の間で確執が生じている。

大統領訪中に60人の企業代表団が同行

今回の大統領訪中には、60人から成る企業代表団が同行した。代表団を組織したチェコ商工会議所の会頭は4月25日、北京で中国銀行と覚書に署名した。覚書では、中国銀行が向こう4年間に、チェコ企業の投資およびチェコ・中国間の貿易拡大に関するプロジェクトに対して、最高20億ドルの貸し付け提供をすることを保証している。なお、中国銀行は2015年にプラハに支店を開設している。

企業の個別協議では、チェコの小型航空機メーカーが最高1億ドル相当の軽飛行機輸出契約を締結一歩手前まで進めたほか、チェコのバス・列車運行会社が中国の鉄道車両輸入に関する契約締結に成功するなど、具体的な進展もみられた。

さらに、プラハ空港管理局は中国の四川航空と、新たに深セン~プラハ間直行便就航を2019年7月1日付で開始する旨の協定を締結した。

ゼマン大統領は、新たな直行便就航決定を歓迎する一方で、中国の対チェコ投資がいまだ低調な点を指摘し、「投資面においても今後、ダイナミックな進展がみられることを望む」と述べた。チェコ国立銀行によると、2017年末時点の中国の対チェコ直接投資額は累計5億7,630万ユーロ。これは全体の4.4%で、日本の直接投資額(15億9,470万ユーロ)の約36%にとどまる。

(中川圭子)

(チェコ)

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