日加首脳会談で関係強化を再確認、ジェトロはカナダ投資庁と覚書を締結

(カナダ、日本)

トロント発

2019年05月08日

4月22日から欧州、北米を訪問した安倍晋三首相は4月28日午前、最後の訪問地カナダの首都オタワで、ジャスティン・トルドー首相と会談した。自由で開かれたインド太平洋のビジョンの下で、両国間の戦略的なパートナーシップを強化していくことを再確認したほか、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)についても、2018年末に発効したことを祝した。両首脳はまた、6月に大阪で開催されるG20首脳会議の成功に向け、参加国が世界の最も緊急な課題に取り組むために緊密に協力する必要があることを強調した。

首脳会談後の共同記者会見で、トルドー首相は「安倍首相と私は両国間の長年のパートナーシップについて議論し、関係をさらに深めることを約束した」と述べ、ジェトロとカナダ投資庁(Invest in Canada)との覚書締結などについても言及した。また、G20首脳会議に出席することを楽しみしているとし、「会議は安倍首相のリーダーシップの下で必ず成功するだろう」と語った。

ジェームズ・カー国際貿易多様化相は「CPTPPのおかげで、日本との経済関係はこれまでにないほど強固になった。カナダ政府はこの関係をさらに強化していく」と述べた。具体的には、国内の貿易コミッショナー(カナダ企業の輸出を支援する政府担当官)増員のほか、日本の主要3都市への新たな貿易コミッショナーの配置を挙げた。1月に開設したカナディアン・テクノロジー・アクセラレーター・ジャパン(CTA-Japan)が、カナダのテック企業による日本市場への進出を支援する、とも述べた。

ジェトロがカナダ投資庁とイノベーション促進のための協力覚書締結

共同記者会見に先立ち、両首脳の立ち合いの下、ジェトロとカナダ投資庁間のイノベーション促進のための協力覚書と、国際電気通信基礎技術研究所とカナダ国立研究機構(National Research Council Canada)間のロボット工学や電気通信分野を中心とした共同研究促進のための覚書の署名式が行われた。ジェトロでは、覚書締結後の最初の協力イベントとして、6月11~12日に「カナダIT投資・イノベーション・セミナー&トロント・イノベーションハブ・視察会」を開く(注)。カナダでは、人工知能(AI)などのテック産業が盛んで、カナダ最大級のAI・ビッグデータ専門展示会「AIトロント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」「ビッグデータトロント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の来場者は5,000人超、講演者150人、90社の出展が予定されている。また、「CDLスーパーセッション2019外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」は、シードステージにある多数のベンチャー企業が参加し、各国のベンチャーキャピタルからの注目を集めている。カナダ投資庁とのイベントは、これら展示会の開催に合わせて行うもの。

(注)詳細と申し込みはジェトロのウェブサイトを参照(申込締切6月4日)。

(酒井拓司、飯田洋子)

(カナダ、日本)

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