2020年の総選挙をにらみ有力野党らが連合の新党を結成

(エチオピア)

アディスアベバ発

2019年05月22日

エチオピアでは、2018年4月に与党エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)がアビィ・アハメド首相を選出して以降、政府が反テロ組織と認定していた野党勢力が合法化され、国外から国内に活動拠点を移す動きも続くなど、政治的な自由の幅が広がっている。5月11日に新党「社会正義を求めるエチオピア市民(The Ethiopian Citizens for Social Justice:ECSJ)」が結党され、2020年に予定される総選挙に向けて、野党勢力の再編が見込まれる。

ECSJは、有力野党「ギンボット7」を含む点で注目される。国外から帰還した勢力の中には民族主義的な色合いが強い政党もあるが、ギンボット7は特定の民族に支持基盤を持たず、主に都市部に支持層を抱える。ECSJの党首には、ギンボット7からベルハヌ・ネガ(Birhanu Nega)氏が選出された。2005年の総選挙では、同氏が率いた党がアディスアベバ市議会で多数派となり、同氏は市長職の首班指名を受けたものの、その後、国を追われていた。

ECSJ結党に参加したのは、ギンボット7のほかに、セマヤウィ(青の党)、ガンベラ地域運動、全エチオピア民主運動、エチオピア民主党、新世代党、民主化と正義の連合で、計7党。全国312地区で候補者を立てるという。政策などは明らかになっていないが、ギンボット7と、これに次いで比較的知名度の高いセマヤウィが自由・改革主義的で知られるため、リベラルな政党の集合とみられる

3月には与野党107党が3章20条からなる行動規範に署名し、各党が代表者を出す共同評議会の設置も決まるなど、2020年の総選挙に向けた準備が進んでいる。

(関隆夫)

(エチオピア)

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