世界銀行がエジプトで2億ドルの起業・雇用促進プロジェクトを開始

(エジプト)

カイロ発

2019年05月17日

世界銀行のマリーナ・ウェス・エジプト事務所長とエジプトのサハル・ナスル国際協力・投資相は5月5日、雇用創出のための2億ドルの起業促進プロジェクトに署名した。同プロジェクトはエジプト国内の中小企業や起業支援を通じて、雇用の促進と経済成長につなげる狙いだ。エジプトの政策金利である貸出金利は5月時点で16.75%と高く、起業や中小企業が融資を受ける際にネックになっている。同プロジェクトはエジプト中小企業支援庁を通じて、1億5,000万ドルを中小企業に融資し、5,000万ドルをベンチャーキャピタルや投資会社経由でアーリーステージのスタートアップへの投資や投資起業家育成プログラムに充てる。

エジプトでは2011年のアラブの春以降、経済低迷期に失業者が増え、雇用創出が政府の課題となっている。中央動員統計局によると、失業率が最も高かった2013年の失業率は13.2%で、2018年10~12月期は8.9%と改善傾向にあるが、女性の失業率は22.8%、またILOによると2017年の若年層(15~24歳)失業率は29.9%と高い。そのため、同プロジェクトでは、特に若者と女性の活躍、また低開発地域での支援を念頭に置いている。

世界銀行は2014年からエジプトで実施しているイノベーションおよびファイナンシャル・インクルージョン支援プロジェクトで30万人の雇用を生み出しており、雇用創出を通じて経済が改善傾向にあるが、さらに中小企業や起業への後押しが必要としている。近年、エジプトでは起業が盛んになっており、スタートアップイベントが数多く開催されている(2018年12月19日記事参照)。エジプト政府や国際機関、多国籍企業なども起業を後押しする動きがみられ、同プロジェクトを通じて、起業の促進と中小企業ビジネス支援による経済の活性化が期待される。

(井澤壌士)

(エジプト)

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