大規模な起業支援イベントRiseup Summit 2018がカイロで開催

(エジプト)

カイロ発

2018年12月19日

エジプトの起業支援の中心地であるカイロ市内のインキュベーション施設「GREEK Campus」で12月7~9日、中東・北アフリカ最大規模の起業支援イベント「Riseup Summit 2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が開催された。6年目の今回は、エジプト、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)など中東諸国を中心に48カ国から、投資家、IT企業、起業家ら、前年より約1,000人多い約6,000人が参加した。

中東・北アフリカで最大規模

298人のスピーカーによる起業家向けのマネジメントや人材育成方法などのセミナー、先駆者が成功の秘訣(ひけつ)、最新技術や新サービスの紹介などをするセッションが開催された。日本関係者によるプレゼンテーションも行われ、主催者や来場者から日本の優れた技術が中東で活用されることに期待する声があった。

写真 日本のスタートアップに関する講演(ジェトロ撮影)

日本のスタートアップに関する講演(ジェトロ撮影)

参加スタートアップ数は年々増加傾向で今回は240社以上となり、各ブースで説明が行われた。分野は、eコマース、物流、教育、旅行、食、医療、娯楽など多岐にわたった。ピッチコンテストでは書類選考を通過した50社が、投資を呼び掛けた。決勝戦には、給料の日払い管理アプリ、車メンテナンス依頼アプリ、ペットケア依頼のアプリ、個人旅行手配アプリ、フィットネスクラブ予定管理アプリなどのスタートアップや、貧困層児童がデザインしたファッション小物を商品化する社会起業家が勝ち残り、センサーやスイッチなどの無線ガジェット(道具)を操作するアプリを開発した「Argineering外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が優勝した。

写真 スタートアップのブース(ジェトロ撮影)

スタートアップのブース(ジェトロ撮影)

スタートアップへの投資拡大に期待

本イベントは、エジプトのベンチャーキャピタルやアクセラレーター、グローバル企業など65社がスポンサーとなり、スタートアップ発掘、資金援助、最新技術や機器提供など協業を目指した。投資家は、欧米や中東産油国などから約300人が参加した。2017年時点で、エジプトへのスタートアップ関連投資額は約3,690万ドルで、欧米やUAEと比べると少ない。現地の著名投資家は、エジプトでは人件費などが安価で起業しやすく、若者が多く、情報通信技術(ICT)関連の人材が育っており、起業も増えているため、今後は投資件数・金額も増えると予想する。

エジプトでは、民間で起業支援を行うアクセラレーター、インキュベーターが増えており、政府は投資ファンドや起業支援センターを設立し、官民の起業支援ハブは34社・団体となっている。若年層の高失業率を背景に、官民による起業支援イベントが実施されている。民間アクセラレーターの事例としては、Riseup SummitをRiseup LLCが主催し、Flat6labは5月、12月に投資家とスタートアップとの交流イベント(2018年5月22日記事参照)を実施した。また、情報通信省は、9月に「第1回eコマース・サミット」(2018年10月9日記事参照)を開催したほか、11月にエジプトの展示会「Cairo ICT」においてスタートアップ約50社のブースを設置した。起業や投資が活発化することで、雇用が生まれ、景気が上向くことが期待されている。

(井澤壌士)

(エジプト)

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