中間選挙受け、税制優遇見直し法案に日系企業から上がる不安の声

(フィリピン)

マニラ発

2019年05月20日

フィリピンで5月13日に実施された中間選挙(2019年5月15日記事参照)において、ドゥテルテ大統領を支持する与党勢力が圧勝する見込みとなった。これを受けて、7月に始まる次期国会において、経済特区入居企業が享受する税制優遇制度を見直す、税制改革法第2弾の法案が可決されることを懸念する声が、多くの在フィリピン日系企業から上がっている。

フィリピン経済特区庁(PEZA)から認定を受け、マニラ首都圏でIT-BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)業を営む日本企業はジェトロの取材に対して、「PEZAの税制優遇制度が撤廃された場合、新しく適用される税制に基づいて、日本の本社が今後のフィリピンでのビジネス展開の在り方について、撤退や縮小という選択肢を含めて経営判断を行う」と話した。

一方、同じくPEZA認定を受けているカラバルソン地域の日系製造業の担当者のように、「仮に税制優遇制度がなくなった場合、企業収益の観点からいうと芳しくはないが、税制改革で確保した財源をもってインフラ開発を着実に進めてくれるのであれば、中長期的にみてフィリピンの成長や発展につながり、ひいては自社の利益につながるのではないか」と話す企業も少数ながらある。

フィリピン日本人商工会議所が2018年10月、在フィリピン日系企業向けに行ったアンケート結果によると、経済特区の税制優遇制度が撤廃された場合、PEZAの認定を受けている日系企業のうち63%が、撤退、縮小、他国へのシフトを検討すると回答した。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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